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WHO?

[Part4]国境またぐ権威を生かせ/タチ山田(前ゲイツ財団グローバルヘルス部門プレジデント)










photo:Sako Kazuyoshi

製薬会社のGSK(グラクソ・スミスクライン)の取締役からゲイツ財団に招かれ、2006年から5年間に累計90億ドルの使い道を指揮した。


仕事を始めたのが、ちょうどWHOでマーガレット・チャンが事務局長に就任したのと同じタイミング。その後、毎週のように電話で連絡を取るようになった。彼女が状況を整理して優先課題を把握するため、少額のコンサルタント費用を援助したこともある。




グローバルヘルスの分野で、WHOは正当な権威を備えた唯一のリーダーだ。その権威は、194カ国が世界保健という公共財をつくることに合意し、主権の一部制限を受け入れていることに由来する。米国の疾病対策センターや国立保健研究所(NIH)は強力だが、権威が及ぶのは国内だけ。ゲイツ財団にはいくらお金があっても権威はない。


エボラやポリオ、インフルエンザの大流行といった国境を超えた問題には、WHOの権威をもって対処する必要がある。だが、加盟国は十分にお金を提供してこなかった。そこで、ゲイツ財団は、自らの優先課題と一致する分野で資金面の協力をしてきた。その代表格がポリオ撲滅だ。パートナーシップを組んだほうが、財団単独でやるよりもずっと多くのことを達成できる。


WHOの難しさは「194人のボス」、つまりすべての加盟国に仕える立場にあるという点だ。だが、危機への対応となると、民主的手続きを尊重してばかりいられない場面もあると思う。194カ国すべてが合意するまで待っていては手遅れになるからだ。


誰かがリスクをとってリーダーシップを発揮しなければいけない。そして、WHOには時にそうした行動が求められている。


(聞き手・浜田陽太郎)




Tachi Yamada


1945年生まれ。本名・山田忠孝。15歳で渡米。ニューヨーク大医学部卒。ミシガン大病院の内科医長を経て94年、製薬業界に転身、2004年からGSK取締役。11年から武田薬品工業取締役チーフメディカル&サイエンティフィックオフィサー






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