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WHO?

[Part3]仕事は膨大、資金が必要/ケイジ・フクダ(WHO事務局長補)





photo:Hamada Yohtaro

今回のエボラ出血熱の流行が示したのは、感染症は消え去ったわけではなく、いまでも極めて深刻な打撃を引き起こしうるという教訓だ。世界中を恐怖に巻き込み、人々の健康だけでなく、経済や政治など社会のあらゆる重要分野に影響を及ぼす。患者や死者の数が示す実態を超えて、人々は恐怖や懸念を抱くのだ。


予想外だったのは、封じ込めに必要な要員確保の難しさだ。診療だけでなく、データ管理や監視、物資の運搬などの人手が必要になる。海外からの支援者が現地で感染した場合、どうやって感染国外に搬出するかは難しい問題だった。感染していなくても、感染国から戻ろうとする医療従事者に対する恐怖が広がってしまっていた。


今も大変な問題だが、将来的にはもっと深刻な問題を引き起こしかねない。世界中のすべての国が十分な危機対応力をつけるまでの道のりはまだ遠い。そして、アフリカのいくつかの国々で保健システムが貧弱である限り、そこで起きた感染症の流行がアジアにも飛び火しうる危険な状況は続くのだ。


グローバリゼーションの中で、旅行も通商も活発になった。感染症だけでなく、恐怖もより速く、容易に伝搬することになり、すべての問題が難しくなっている。


感染症を封じ込めるため、WHOは各国に情報を提供し、ガイダンスを与えるが、現場で実際に行動するのはその国の人たちであり、病気の発生を監視し、速やかに治療する能力を各国が構築する必要がある。


備えるべき危機はエボラだけでなく、他にも同時多発的に起きている。対応は膨大な仕事だ。加盟各国にあっては、WHOが十分にスタッフを確保するために必要な資金を与えてもらえるよう望んでいる。


(聞き手・松尾一郎)




Keiji Fukuda


1955年、日本生まれ。米バーモント大医学部卒、カリフォルニア大バークリー校で公衆衛生学修士。米疾病対策センター勤務を経て、2005年、インフルエンザ専門家としてWHOへ。10年から保健安全保障を担当







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