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WHO?

[Part2]収入は寄付が8割、財政運営は綱渡り










WHOの財政は、硬直化し、ゆがみを抱えていると指摘する声は多い。 


いま動いている14―15年予算で見ると総額は2年で約45億ドル。入ってくるお金には、2種類ある。


一つは、加盟国が経済力などに応じて支払う分担金(義務的拠出金)で、WHO事務局の判断で使える。しかし、これは9億2900万ドルしかなく、予算の2割程度しか賄えない。


残りは、加盟国や民間財団などが任意に出す拠出金。要は寄付なので減らすも増やすも出し手次第。しかも、ほとんどは使途限定の「ひもつき」だ。


しかも、この二つのお金と、すでに見込みが立っている収入をあわせても、9月末時点で1割弱にあたる3億7580万ドルが不足している。


やるべき仕事に対して、お金が足りない──。そんなメッセージを伝えるのにWHOは様々な工夫をこらしている。その象徴が、ネットで誰でも閲覧できる「事業予算ポータル」だ。


歳入と歳出の全体像のほか、八つの部門ごとの予算が、どの種類のお金によってどこまで賄われているかを示すグラフがある。達成が間近に迫る「ポリオ根絶」には寄付(任意拠出金)がたくさん集まっており92%の充足率。だが、「緊急事態への準備と監視」は最低の64%。まさに、本編1に登場したケイジ・フクダやイザベラ・ヌタールが率いる部門である。成果がわかりにくいとお金が集まりにくい傾向が見てとれる。




大口寄付者に理解を求めて


為替変動の影響を受けながらもWHOの歳入はほぼ一貫して増えてきた。だが、先進国は分担金を出し渋る一方、自国のコントロールが利く任意拠出金を増やしていった。


「一国1票の年次総会に任せると、数で勝る途上国が、自分たちに恩恵が大きくなるよう予算をどんどん膨張させてしまいかねない」(先進国のジュネーブ駐在外交官)という不満がある。


加えて、エイズやマラリアによるアフリカの窮状への関心が広がるなど、民間の寄付も増えていった。特に、巨大ソフトウェア企業の創業者として得た利益を元手にした米国のビル&メリンダ・ゲイツ財団の存在感は大きく、WHOの予算の1割を賄う。


国連機関の財政にくわしい外交官によると、専門機関で任意拠出金の占める割合の平均は3割程度。比較的大きな予算の8割近くを「寄付」に依存するWHOは、かなり特殊な存在という。


今の予算は新しい方法で編成している。これまで加盟国は年次総会で、分担金で賄う予算だけ承認していたが、今回から寄付で賄う分も含め全体の枠組みを決め、各部局の寄付集めにも制限を設けた。加盟国によるコントロールは強まったが、安定財源が増えるわけではなく、財政運営は綱渡りだ。


苦しい懐具合への理解を広げるため、WHOは「財政をめぐる対話」と題した会議を昨年から2回開き、加盟国だけでなく、ゲイツ財団や官民連携ファンド(次ページ参照)など大口寄付者が参加している。


(浜田陽太郎)

(文中敬称略)

(次ページへ続く)

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