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WHO?

[Part3]「心地よい現状維持」を脱せ/チャールズ・クリフト






photo:Chatham House

今回のエボラ出血熱の大流行では、もっと早期に封じ込めれば、助かる命があった。WHOの対応に問題がなかったか真剣な検証がなされるべきだ。


一番の問題は、加盟国はWHOに注文ばかりして、必要な資金の手当てをしてこなかったことだ。分担金だけでは、基礎的な人件費さえ賄えない財政は、あまりに脆弱(ぜいじゃく)だ。選択と集中が必要で、危機対応への準備は最優先されるべきだ。


一方、WHOの組織にも問題がある。職員の4分の3を占める広範な地域ネットワークが、その維持コストに見合った仕事をしているのか、検証が必要だ。今回、アフリカの地域事務局の危機対応力には重大な疑問符がついた。


背景にあるのは、WHOの分権的な組織構造だ。六つの地域事務局の局長は、当該地域の加盟国による選挙で選ばれる。当選するためには、「有権者」の機嫌を損なうようなことはできず、能力本位よりも政治的思惑による人事の横行が指摘されている。


途上国にとりWHOの職員ポストはおいしい既得権だからだ。政府の公務員よりも給料とステータスが高く福利厚生にも恵まれており、魅力的な再就職先だ。


WHOの財政構造は、任意の拠出金が収入の4分の3以上を占める奇妙なものだ。裕福な先進国は、各国平等に1票しか行使できない年次総会では少数派でうまく主張が通らない。だが、ひもつき拠出金を増やせば、WHOに影響力を行使できる。


一方、仮に今の予算をすべて分担金で賄うことになれば、途上国も今の何倍もの負担を強いられる。途上国にあるWHOの現地事務所は、拠出よりも大きな予算を配分されており、現状維持の利点は大きいのだ。


世界は、今回のような国際的な危機に対処するリーダーシップを必要としている。WHO本体も「改革」に取り組んでいるが、人事権など政治的に困難な課題に正面から向き合わなければ、十分な結果をもたらすことはないだろう。



(聞き手・浜田陽太郎)

本編2へ続く)










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