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動物園、来てみる?

[Part2]対談/MISIA×村田浩一園長







photo:Sako Kazuyoshi

MISIA 子どもの頃、動物園といえば、人気者がチラッと見えたら終わりでした。いまの動物園は、生き物が何を食べて、どんな環境で暮らしているのか、踏み込んで見ることができます。まぢかで見て、目が合って、ドキッとする。動物それぞれに意思があって、生きているんだなぁと感じます。生き物って、見ているだけで一日が終わりそうなぐらい魅力的です。


村田 動物園もいろいろ、工夫しています。動物が閉鎖空間にいても、野生と同じ感覚で暮らせる環境をつくろうとしています。エサも昔は朝か夕方にやって終わりでした。今はランダムに、あるいは隠してやります。動物は探すのが楽しいんです。


MISIA 人間も、頑張って何かをつかんだ方が充実感があるのと同じですね。


村田 動物園は希少動物の保護、生物多様性の保全にも力を入れています。そのひとつが野生復帰です。私たちも、バリ島でほぼ絶滅状態にあるムクドリの仲間、カンムリシロムクを飼育下で増やし、現地に戻す活動をしています。すでに125羽をインドネシアに送りました。今年は「営巣し、卵を産んだ」と連絡がありました。


MISIA いま、人間の力、活動によって、生物多様性のバランスが壊れようとしていますね。私が子どもの頃に住んだ長崎県の対馬には、対州馬(たいしゅうば)という在来の馬がいます。昔は、農耕の手伝いや畑の雑草を食べて、人間の暮らしをサポートしてくれていました。ピーク時には4000頭いたが、人間の暮らし、馬との関係が変わったことで、32頭にまで減り、絶滅の危機にあります。いまでは除草には、ガソリンが必要な草刈り機を使うようになりました。生物多様性を失うことは、私たちが生きる世界を失うことでもありますね。


村田 国際的に生物多様性の保全に関わっている人たちの多くは、子どもの時に野山を駆け回って動物と触れ合った経験を持っています。


MISIA 私もそう。ウーパールーパーだと思って捕まえたら、実はイモリで朝、しっぽだけ残っていたなんて経験もあります(笑)。


毎年夏にキャンドルで会場を埋め尽くした幻想的な雰囲気の中で「キャンドルナイトライヴ」をやるんですが、野外で歌ったり、楽器を奏でたりすると、鳥や虫が一緒に鳴き始めるんです。こういう中で、生きているってステキだなって感じてもらいたいと続けています。


村田 私たちはアフリカの動物園の支援もしていますが、アフリカの人たちは案外、身近にいる野生動物のことを知らない場合があるそうです。不思議です。野生を守ることがいかに重要か知ってもらおうと活動しています。


MISIA 2007年にケニアに行きました。私が歌うソウルミュージックのルーツはアフリカ。これだけ恩恵を受けているアフリカに関心を持たないのはウソだろうと。マサイの人たちにこんな話を聞きました。人々が歌うと鳥が集まり、蜂の巣の場所を教えてくれるそうです。子どもたちが蜂の巣を取り、蜂の子が落ちると、鳥が食べる。長い年月で培った共存関係に人間も組み込まれているんだなあって感じました。


村田 動物園も楽しく学べる場にしたいです。環境教育や希少種の保全など見えない部分をしっかり進めながら、生き物の偉大さとか、命のつながりとか、ひとつでも感動があれば、大切な経験として育っていくと思います。

MISIA 私たち人間と動物とのつながりを学ばせてもらうために、動物園の動物にいてもらっているのかもしれませんね。触れ合ったことで、これからもオカピのこと、アフリカのことが気にかかる。どんな動物でもいい、この動物おもしろいなぁ、目が合ってドキッとしたなぁって、多くの子どもたちに感じて欲しいですね。


(構成・藤えりか)



MISIA

長崎県出身。5オクターブの音域をもつ歌唱力で、「Queen of Soul」とも呼ばれる人気歌手。アフリカの支援活動をはじめ、「MISIAの森」づくりなど社会貢献にも積極的に取り組む。今月、デビュー15周年を記念した「MISIA 星空のライヴⅦ」のDVD、ブルーレイを発売(写真)。8月9日の香川を皮切りに、札幌、長崎、山梨で「MISIA キャンドル ナイト」を予定。詳細はwww.misia.jp

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村田浩一

2011年7月から、よこはま動物園ズーラシア園長。日本大生物資源科学部教授。著書に、国内の研究者が動物園学を体系的に説いた「動物園学入門」。62歳。



(文中敬称略)

(次ページへ続く)



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