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動物園、来てみる?

[Part2]日本の動物園の限界





「日本の動物園は改革が遅れた」と関係者は口をそろえる。多くを地方自治体が営み、「住民のための娯楽施設」との考え方が根強かった。


動物園は広い土地が必要な上、集客が季節や天候に左右され、動物の世話にはお金と人手がかかる。民間会社が参入するには壁が高い。


日本動物園水族館協会に加わる動物園の入園者数は2012年度に3985万人。ピークだった1991年度(6565万人)の6割に減った。公立動物園の多くは入園料が子ども無料、大人でも500~600円程度と手軽に利用できる。一方で、税金からの助けがないとやっていけないのも実情だ。住民からの反発を恐れ、統廃合や入園料の値上げにも二の足を踏んできた。


主に地方では、コンクリート張りの狭い檻が圧倒的に多い。欧米の流れに遅れまいと、動物の本来の行動や野性を引き出す「行動展示」や、生息地の環境をできる限り再現する「生態展示」に力を入れているのは、資金力のある一部の園に限られている。そこでさえ、模様替えした目玉施設以外は狭く無機質な施設が残る。


動物保護団体のNPO法人・地球生物会議が日本の10以上の動物園を調べたところ、チンパンジーなどの大型霊長類や、ライオンなどの肉食獣が、それぞれ数畳程度の檻の中で飼われている園が多かった。調査した小沢利子は「動物の福祉、動物の生態に配慮した展示を園に求めたい。見る側の市民も動物の福祉、飼育環境に関心をもって欲しい」と話す。


国内の動物園にも、生物多様性や希少動物の保全という新たな役割が求められている。動物をほかの園に貸して、希少種の繁殖につなげようという園も出てきている。ただ、そんな新たな役割についても、「自分の町の税金を投じる理由を住民に説明しきれない」(関東の動物園の飼育責任者)との声も聞く。運営する自治体、市民も意識を変えていかないと、動物園の改革は難しい。


(江渕崇)

(文中敬称略)

(次ページへ続く)


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