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動物園、来てみる?

[Part5]見上げれば、トラ、ゴリラ/米国






[アメリカ・フィラデルフィア]ステンレス製のチューブの中を、アムールトラが悠々と歩く。時折座り込み、遠くを眺めた/photo:Toh Erika

トラが、ライオンが、人の頭上を歩く──。米国のフィラデルフィア動物園は5月初め、世界でも珍しい展示を始めた。


もともとの展示施設から、約100メートルのステンレス製のチューブを空中に延ばした。最高約4メートルの高さをトラやライオン、ヒョウなど計17頭が日替わりで、入園者を見下ろしながら闊歩(かっぽ)する。総工費は230万ドル(約2億3000万円)以上だ。


「ネコ科の動物は樹上や高い岩場にいたがる。初めて歩いた時も後ずさりせず、ワクワクした様子でしたね」。チーフ飼育係のケイ・バファマンテは言う。炎天下でも、床が熱くならないよう工夫した。


同園は2011年から、動物ができるだけ動き回れる展示を次々と打ち出している。面積は約17万平方メートルと、米国では小ぶり。動物の運動不足解消のため、本来なら園自体を拡張したいところだが、園は西に線路、東には川が迫り、「飛び地でも使わないと拡張は難しい」と最高執行責任者(COO)、アンドリュー・ベイカー(56)。著名な動物園デザイナーのジョン・コー(73)に依頼、チューブを使ったルート展示「Zoo360」が生まれた。




動物に敬意を

[アメリカ・ブロンクス] コンゴの生息環境を再現した「コンゴ・ゴリラの森」。見学者に興味津々のメスゴリラに、少女が手を伸ばした


動物の位置を見学者より上にし、人が見上げることで、動物に敬意を払う意味合いも持たせた。


サルが駆け回る約500メートルの空中散歩道もつくり、16年にはキリンやシマウマ、カバやサイが歩く道もつくる。目下、中国など各国・地域の動物園などから問い合わせが相次いでいる。







ブロンクス動物園でも、動物を見上げる展示が人気だ。約2万6000平方メートルの「コンゴ・ゴリラの森」は、日本で最大規模を誇る上野動物園のゴリラの森の約16倍の広さだ。ここに赤ちゃん2頭を含む13頭がすむ。


この森は、人間が見る位置より高い地点につくられている。


ブロンクス動物園のクリエーティブ・ディレクター、本田公夫(56)は解説する。「ゴリラは人間の反応を見て楽しんでいる。人間を高い位置にして、ゴリラを『見下げる』ような展示にしたくなかった」


(藤えりか)

(文中敬称略)

本編2へ続く)


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