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大学ってなんだ?

[Part4]「デジタル時代だからこそ、集える場を」/渡辺靖 慶応義塾大学SFC教授






photo:Kanari Ryuichi

私が慶応の湘南藤沢キャンパス(SFC)に来た15年前、「20年後はデジタル化が進み、学生はいつでもどこからでも学べるようになり、キャンパスはなくなる」と教員が議論していた。ところが今は「みんなで集える場をつくろう」という計画が進んでいる。


授業のテーマだけでなく、人生論から時事テーマまで何でも語れる場にする。デジタル化が進む中、キャンパスでしかできない教育の価値を高める。






私自身、日米英仏で大学に籍を置き、教員と学生が全人格的な付き合いをする日本のゼミのような場の貴重さに気づいた。教授と学生が合宿や食事会をする。卒業後も関係が続き、教授は結婚式にも出席する。家族や会社とは違う、もう一つのコミュニティーになっている。米国の学部にもゼミはあるが、週に1回集まるだけ。勉強以外の付き合いは少ない。


ネットから情報はいくらでも取れる時代だ。でも、ゼミに参加すると、先生や先輩が様々な情報とどう向き合っているのか、先生が教室の外ではどんな表情をしているのか、何にこだわっているのかも学べる。これが案外、大切な付加価値だったりする。


私が大学院の経験でよく覚えているのは、例えば、米ロサンゼルスで人種暴動が起きたときに、先生がどんな表情をして、どんな言葉を発したのか、きつい質問を受けた時にどう応対したのか。そんな学びが、私の社会での適応力につながっている。


これはムークには難しい。大学はこの価値を見直し、もっと強調してもよい。日本のゼミのような場を、どう次世代に向けて育てていくのか。これがカギになる。


同時に大学はムークをどんどん活用すればいい。自宅で見られる教材が増えれば、その分、教室での時間に余裕ができて、教員が学生の個性を理解した上で、学びを促進できる。ただ、工夫も必要だ。科学分野なら国境に文脈を拘束されずにムークでもやれる。しかし、日本でしか学べない視点もある。例えば米国研究も単に米国の言説をそのまま流布するのでなく、日本の視点を加えることが重要になってくる。


(構成・金成隆一)

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