RSS

時をはかる

[Part2]年をとると、時間が早い






動物には体内時計とは別に、心拍や呼吸などのリズムがある。体の小さい生き物ほどリズムが速く、大きいほどゆったりとしている。


たとえば1分間の心拍数は、ハツカネズミでは600以上、ネコだと200ほど、ヒトは60~70だ。体重3tのゾウは20しかなく、3秒もかけてドクンと脈打つ。「体重が10倍になると、鼓動は1.8倍もゆっくりとなる。そのリズムは、体重の4分の1乗に比例するといわれている」。『ゾウの時間 ネズミの時間』を書いた本川達雄(東京工業大学教授)は、そう話す。


体が大きいほどリズムがゆったりするのは、細胞ごとのエネルギー消費が少なくてすむからだ。小さい生き物は、外界の影響を受けやすく、体温を維持するのにもエネルギーがよけいにかかる。だから寿命も短い。「どの生き物も体内時計は24時間周期だが、エネルギー代謝の面からいえば小さい動物ほど時間の進み方が早いといえる」



エネルギー代謝が落ちて


エネルギー代謝の度合いは、人間の時間感覚にも関係している。


たとえば、年をとるほど時間のたつのが早い、という声を聞く。「年齢が上がるほど人生に占める1年の割合が小さくなるから」「年をとるにつれて初めて経験することが減って刺激が少なくなるため」。さまざまな考え方があるなかで、「年をとるにつれてエネルギー代謝が落ち、同じ時間内にできることが少なくなるからだ」という見方もある。


若いころは短時間内にさまざまな活動ができる。その最中は時間がたつのが早いが、後で振り返ると、中身が濃くて長い時間だったように感じる。一方、年をとると何をやるにも時間がかかるようになり、振り返ると、中身が薄くて短い時間をすごしたように思えるという。



スローダウンのすすめ


社会の時間の流れはどうか?


「現代はエネルギーを大量消費することで、何事もピッチを速めてきた。そのスピードに、人間の体や脳は追いつかなくなっている」と、本川は言う。


生物の体には、エネルギー消費を抑えることで時間の流れをゆるめる仕組みがある。冬眠する動物もいれば、植物は種の形で何年も眠り続ける。人間もスローダウンすることに価値を見いだすべきかもしれない。


(田中郁也)

(文中敬称略)

(次ページへ続く)

…続きを読む

この記事の続きをお読みいただくためには、購読手続きが必要です。
GLOBE総合ガイド
  • ログインする
  • ご購読申し込み

朝日新聞デジタル購読者(フルプラン)の方なら手続き不要

「朝日新聞デジタル(フルプラン)」を購読済みの方は、ご利用のログインID・パスワードでGLOBEデジタル版の全てのコンテンツをお楽しみいただけます。「ログイン」へお進みください。
朝日新聞デジタルのお申し込みはこちら

この記事をすすめる 編集部へのご意見ご感想

  
ソーシャルブックマーク
このエントリーをはてなブックマークに追加
Facabookでのコメント

朝日新聞ご購読のお申し込みはこちら

Information | 履歴・総合ガイド・購読のお申込み

Editor's Note | 編集長から

PC版表示 | スマホ版表示