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グローバル化への視点

[Part3]

ローカルが、グローバルになれる

内山 節 哲学者

 

――グローバル化とローカルなものの関係についてどう考えますか。

ローバル化が進むと、非経済的な価値が見えにくくなる。ローカルな単位で見えてくるものを大事にすることは難しくなる。

すべてを数値化しないと、世界共通の尺度で判断できないからだ。人間が働く上で必要な、労働の対価を超えた文化的な価値を得にくくなってくる。

一方で、ローカルに徹している企業が真の意味でのグローバル企業になれる面もある。
例えば、山梨で作られたワインが、フランスに輸出されて消費される。国境を超えた普遍価値を提供しているとも言える。

そこの国で売れる物は何かという情報をどれだけ取れるか、その土地のマーケットをつかみ、その情報に基づいてどれだけ早く製品化できるかが問われている。
すると、小規模メーカーの方がグローバル化に対応しやすいこともある。

 

――企業はどこへ行くのでしょうか。

かつては、企業益、国益、個人益が一致すると思って働けた時代があったが、今は違う。例えば日本の商社が海外の資源を押さえたとして、日本より中国に高く売れれば中国に売るだろう。何のために働くのかが見えにくくなってきた。

量産する企業は様々な国の大きな市場に対応しようとする。ここで重要になるのは、フローだ。資金をどう調達し、どこへ持って行き、どこで回収するか。

部品もフロー化し、どこで流し、どういう市場で売るかが重要。ものづくりというより、フロー管理で利益を出す企業へと変わってきている。行き着く所までいくとお金自体を転がすようになってしまったり、フロー管理的なところでコストダウンをやりすぎ、製造過程で重大な欠陥が生じてしまったりしている。

(聞き手・宮地ゆう)


うちやま・たかし

1950年東京生まれ。立教大大学院教授。
著書に『自然と労働』『貨幣の思想史』『戦争という仕事』など。

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