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[Webオリジナル]軌道を描いて インタビュー編

[第2回] 「次世代のために宇宙ごみを除去しなければならない」

ニコラス・ジョンソン(Nicholas L. Johnson) NASAチーフサイエンティスト



宇宙ごみ(スペースデブリ)の監視・分析で世界をリードする米国。その中心機関である「Orbital Debris Program Office」は、スペースシャトルの打ち上げ基地として知られるNASAのジョンソン宇宙センター(テキサス州)内にある。チーフサイエンティストのニコラス・ジョンソン氏に電子メールでインタビューした。(09年12月18日)
(聞き手=朝日新聞論説委員兼編集委員 谷田邦一)


――米国は宇宙ごみを監視するため世界規模の宇宙監視網(SSN)をもっていますが、専用施設はいくつありますか。

ニコラス・ジョンソン氏

ニコラス・ジョンソン SSNは米国防総省によって運営されていて、高度4万キロ以下とそれ以上の物体を監視・追尾できる幅広いレーダーと光学センサーがあります。施設数は約30。観測データはカリフォルニア州のヴァンデンバーグ空軍基地にある「統合宇宙作戦センター」(Joint Space Operation Center)に送られ分析されています。

 

――米国と協力し合って宇宙ごみを監視・追尾している他の国はありますか。

ジョンソン 米英とドイツやフランス、日本、中国のほか、ロシアが同じように包括的な宇宙監視システムをもっています。米国は世界に情報を提供していますが、海外の監視網で米国と情報を共有しているところはありません。

 

――米国は宇宙ごみを減らすためにどんなことをしていますか。

ジョンソン 米国は30年以上にわたって国際的なごみ低減の努力を率いてきました。NASAが1994年に採択したデブリ低減ガイドラインが、2002年の「国際機関間デブリ調整委員会」(IADC)のガイドラインや2007年の国連の低減ガイドラインへとつながりました。

 

――宇宙ごみのカタログは、米国とカナダで共同運営する北アメリカ航空宇宙防衛司令部(NORAD)も保有しています。Orbital Debris Program OfficeとNORADはどのような関係にあるのでしょうか。

ジョンソン 宇宙の監視責任は1980年代にNORADから米国防総省に移りました。今は、米統合戦略軍(U.S. Strategic Command)が統括し、空軍と陸軍がこれをサポートしています。NASAは国防総省の各部局と緊密に連携し、地球に近い空間を監視しています。おおまかに言えば、国防総省は10cm以上の物体を特定し、NASAは10cmより小さいものを特定しています。

 

――日本は宇宙ごみ問題でどのように貢献していますか。

ジョンソン 日本は80年代から宇宙ごみ低減活動に積極的に参加しています。日本はIADC創設時のメンバーの1つで、現在、レーダーと光学センサーで監視しています。

 

――宇宙ごみ問題の目下の最大の課題は何ですか。

ジョンソン 直近の課題としては、国際的に受け入れられたデブリ低減方法についてコンプライアンス(説明責任)の度合いをさらに引き上げることです。より長期的に見れば、次の世代にために地球周回軌道にあるごみを、地球に近い空間に移して除去することが求められています。

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