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[Webオリジナル]軌道を描いて ルポ編

[第3回] 日本のUAV事情


世界的な無人航空機(UAV)ブームの潮流にあって、日本でも2004年、航空メーカー各社を中心に「日本産業用無人航空機協会」(JUAV)が発足した。同協会の幹部に聞いてみると、実は日本は2000機近い無人機を運用する「UAV王国」だという。ただしその大半は農薬散布用の無人ヘリコプターで、火山観測や測量など一部の分野で実用化が始まったばかり。欧米に比べるとかなり出遅れ感があるものの、民間部門では航空撮影や災害監視用などのUAV開発に向けて動き出している。(論説委員兼編集委員 谷田邦一)

 

昨年11月、同協会が主催する初めての飛行展示が茨城県河内町の大利根飛行場があり、会場を訪ねた。出場したのはNECなど6企業・団体。5機のUAVを実際に飛ばして性能を競ったり搭載カメラが撮影した画像の伝送などを披露したりした。

組み立てられた無人機を微調整するフジ・インバックの田辺誠治社長=茨城県河内町で、写真はいずれも戸村登撮影

横浜市から参加した「フジ・インバック」の田辺誠治社長に、どのような器材を積んでいるのか尋ねてみた。「GPS(測位衛星)を積んでコンピューターで操作できる点が、従来のラジコンとの大きな違い」という。「宇宙」との接点は、直径約5センチにまで小型化されたGPS受信機だった。「あらかじめデータをプログラムしておけば、片道1000キロの飛行距離を跳び続けることも可能」という。

しかし現段階では、機体に搭載した小型カメラで撮影した写真は機体回収後でないと見ることができない。米国のUAVのように飛行中に画像データを送受信するには、通信衛星と交信が可能な一定の大きさのアンテナを積まなければならない。ところが、その重量を支えるだけの推進力の開発がまだ追いついていないという。「原理はわかっているんですが、米軍がかけている開発費の大きさを考えると当分は難しい」と田辺さん。

 

NECはすでに商品化に成功した「小型無人飛行機システム」を披露した。UAVの翼長は約2メートル。モーター駆動で重さ約500グラムの可視カメラや赤外線カメラを積んで、リアルタイムの画像伝送が可能という。ただし飛行時間は約20分と短い。まだ課題は多いが、地震発生直後のダムの被災監視や山林火災の状況把握などの用途に使えるとPRしている。

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