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――中国はGDPの規模が10年にも日本を抜いて世界第2位になります。どう報道しますか。
姜詩明 メディアにとってそれほど意義のあるニュースだと思えない。中国が数字の規模を追求していた時代は終わっている。考えてみてほしい。13億人もいるのだ。それに、GDPはよく言われるようにビルを壊してまた建てても膨らむ。例えば粗鋼の生産量。中国は90年代に日本を抜いて世界一になった。しかし、非効率で常に生産過剰だ。中国のGDPの中身にはそうしたものが含まれている。

13億の人口は重い。中国政府がGDPの8%成長を目指すのは、世界一になるためではない。雇用を確保するためだ。8%を切ると、失業者が増えて社会の安定も損なわれると考えられている。8%は最低ラインなのだ。日本や欧州と中国の農村生活を比べてみてほしい。また、都市で暮らす出稼ぎ労働者の生活の質はどうか。中国にはまだまだ成長が必要であることが分かるはずだ。
庶民にとっては全体の規模が増えるより、仕事だ。日本を追い越すかどうかは、あまり意味がない。それに大市場は農村にある。農民が豊かにならなければ、内需の拡大にも限界がある。農村の社会保障、教育、医療などの水準はまだ低いが、徐々に改善し始めた。中国にとっては革命的なことだ。
――日本とは発展段階が違うと。
姜 そうだ。日本はバブル崩壊後に「失われた10年」を過ごしたが、中国ではそんなことは許されない。10年も経済成長が失われるような余力はない。国情が違う。鄧小平(トン・シアオ・ピン)が言った「発展是硬道理(発展こそが硬い道理だ)」は今も生きている。日本は80年代半ば、米国から円高を押しつけられたプラザ合意の時点ですでに先進国だった。日本企業は円高から逃げるように海外に進出して生産して競争に勝ち抜く力があった。中国企業に今、そんな力はない。国内の安いコストで生産し、輸出している。
――米国を2030年代には抜くとの試算もある。
姜 米国に追いつき、追い越す。これもその数字自体に意味があるわけではない。そのとき、中国はどのような発展の中身、水準になっているか。それが問題だ。
――経済規模の拡大とともに、中国は大国としての発言権を強く求めている。
姜 これまでは米欧日で「話語権」をコントロールしてきた。自分たちが持っていた既得権益を失うのではないか、と懸念する人は不愉快だろう。しかし、中国が経済発展することで何か被害を受けているだろうか。中国は他国から利益を奪って成長しているのではない。中国の経済成長がほかの国の成長にもつながっている。相応の「話語権」を求めるのは自然なことだ。
(2009年8月10日、北京で。聞き手=吉岡桂子 経済グループ記者兼論説委員)