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中国、「No.1」への長征 内からの目

[Part3] 地位失墜は取り越し苦労 喪失感より協力を

呉 建民 前外交学院長

 

GDPの中日逆転について、中国の指導者やエリートは冷静だ。
日本は1人あたりGDPで中国よりずっと上だし、企業の海外生産も多いが、中国はほんのわずかだ。ハード、ソフトの両面で、両者の差はまだ大きい。

駐仏大使、中国の外交官養成を担う外交学院の院長などを歴任。外交分野の論客として内外に向けて中国共産党・政府のメッセージを伝える役割も担う。05年の反日デモの際には中国外務省からの要請で大学生らに違法な破壊活動を自制するように求めた。70歳。

ただ、中国の普通の人々はとても喜んでいる。日本が明治維新以降、アジア最強の経済体になってから、アジアのどの国も日本に追いつき、追い越したかったのだ。どんな国家も、興隆するときには民族主義が高まる。
中国の指導者は、他者を排斥するような民族主義を非常に警戒している。中国の過去30年のめざましい成功の基盤は、改革・開放にあったからだ。

中日逆転はむしろ、日本の人々により大きい衝撃を与えているのではないか。中国やインドなどの台頭に、日本人はある種の喪失感を覚えているように思える。(アジアでの)ナンバーワンの地位を失い、どうしたらよいのだろうか、と。米国人が「G2」を言い出したのも、心配の種だろう。
そうした心配は理解できるが、いずれも取り越し苦労だ。
中国政府は中日関係を相当に重視している。胡錦濤(フー・チン・タオ)国家主席は03年以降、中日関係に最も時間をさいた。両国で積極的に協力し、東アジアの発展の道を築こうとしてほしい。

今日のアジアは世界で最も活力ある地域だ。東南アジアの国々も中日どちらかを選ぶようなことはしたくないだろうし、そんなこと(で競うの)はお互い、時間の浪費でしかない。
「G2」は、米国にしてみれば中米関係を強化したいという思いから出た話。日本は米国の同盟国で、中国は違う。それに、中国は中米で世界を治めようなどと考えてもいないし、できない。米国は唯一の超大国で、我々がとって代われるものではない。

我々に「ナンバーワン」に対するこだわりはない。中国は国内問題で大変忙しい。温家宝(ウェン・チア・パオ)首相の毎年の政府活動報告も約40ページのうち国際部分はわずか1ページしかない。これが事実だ。

(文中敬称略)

取材記者略歴

吉岡桂子(よしおか・けいこ)
64年生まれ。
北京・上海特派員などを経て09年から経済グループ記者兼論説委員

琴寄辰男(ことより・たつお)
71年生まれ。
経済部記者などを経て07年から北京特派員

奥寺淳(おくでら・あつし)
71年生まれ。
経済部記者、香港特派員を経て09年から上海特派員

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