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中国、「No.1」への長征 カネもポストも

[Part1] 買収再開する政府資金 「ハゲタカになるな」の声

中国の旺盛な対外投資を支えているのが、世界一の残高を誇る外貨準備だ。輸出の増加に伴って急増し、今では2兆ドル(約182兆円)を超える。

CIC本社があるビル。ロンドン・シティーの北京事務所や、地場系投資会社なども入居している=琴寄辰男撮影

「中国投資有限責任公司(CIC)」は07年9月、手持ちの外貨をより有効に運用しようと設立された政府系投資ファンド(SWF)。約2000億ドルを運用する世界最大級のSWFだ。

8月下旬、本社(北京市)を訪ねた。
SWFは非公開部分も多く、めったに取材に応じない。トップもさぞや「こわもて」だろうと社長室に入ると、短髪の穏やかな男性が待っていた。
高西慶(56)。81年に米国へ留学、ウォール街の弁護士事務所に勤務し88年に帰国後、中国証券監督管理委員会副主席などを歴任した。中国金融界きっての国際派だ。
窓辺や棚を埋めるように、たくさんの小石が並んでいた。「これはモンブランに行った時の、こっちは……」。数百はあるだろうか。旅行や出張の際、記念に拾っているのだという。数の多さが高の行動半径と人脈の広さを物語る。
単刀直入、「積極投資を再開しますか」と尋ねると、「その通り」ときっぱりした答えが返ってきた。
SWFによる大型投資が相次いだ07年、「投資=国有化」とのイメージもあって世界ではSWFに対する脅威論が浮上した。だが、08年には急速にしぼむ。CICの新規投資額もわずか48億ドル。金融危機の深刻化で、身を縮めざるをえなかった。

CICのトップ、高西慶。予想外のソフトなイメージに、記者(琴寄)は拍子抜けした=CIC提供

それでも、危機に陥った米金融大手から頼られた経験で、高は自信を深めた。
「金融危機の発生後、政府系ファンドに対する国際社会の態度は明らかに変わりました。現在は、ほとんどの国がCICの投資を歓迎しています」
世界経済は底入れの兆しを見せている。「09年の新規投資額は数百億ドルになる」と高は言う。
東京証券取引所会長の西室泰三も、中国マネーを歓迎する。
「『ハゲタカ』という映画を知っていますか」。その西室が、7月に北京であったCICの諮問委員会で発言した。
中国系ファンドが日本の自動車会社を買収するストーリー。話題となったビジネス小説が原作の日本映画だ。
「シンガポールの政府系ファンドが投資しても、国を挙げて乗っ取りにきたとは誰も思わない。だが中国となれば違ってくる。みなさんが各国に与えているイメージを十分に意識した投資行動を」と説く西室に、高たちは深くうなずいていたという。


 

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