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「米国と中国の関係が、21世紀を形作っていく」
米大統領のオバマが7月末、ワシントンで開かれた米中戦略経済対話でこう語ると、米中関係者の注目を集めた。

対中政策について初めての本格的な演説のなかで、中国への評価、期待にとどまらず、米中2カ国で世界を主導するという、いわゆる「G2」の考えを示したと受け止められたからだ。
オバマは「世界のいかなる二国間関係にも劣らぬほど重要」「両国は利益を共有している」としたうえで(1)経済の回復(2)クリーンエネルギー(3)核不拡散(4)国境を超えた脅威への対応、の四つの協力分野を挙げた。
中国の軍事力増強や透明性の欠如に対する懸念も示さなかった。「警戒・抑止」(hedging)よりも、「関与」(engagement)に軸足を置いて関係構築にあたろうという姿勢が読み取れた。
軍の関係者も歩調を合わせる。太平洋軍司令官のキーティングは9月中旬、ワシントンのシンクタンクでの講演で、「中国を脅威とは思わない」「中国の将来については、用心しつつも楽観している」と、相手への配慮を見せた。
もっとも、オバマ政権の対中政策は、政権がスタートして10カ月を迎えた今も全体像が明らかになっていない。
11月に予定される初の訪中時に、オバマがはっきりとした政策を打ち出すとみられるが、協力関係の強化を重視していくのは間違いないようだ。
背景には、経済回復、北朝鮮核問題という2大課題の解決には、中国の協力が不可欠との事情がある。
その一方で、中国との間にさまざまな溝があるのも事実だ。オバマ自身、「すべての問題について意見が一致するという幻想は持たない」と語っている。
今年3月には発足直後のオバマ政権を試すような出来事もあった。
南シナ海の公海上で米海軍の調査船に対し、中国政府艦船が進行を妨害する事件が起きた。AP通信の報道などによると、調査船は潜水艦の探知に必要なスクリュー音(音紋)や水質データの収集をしていたようだ。米政府は強く抗議したが、中国側は「許可なく排他的経済水域(EEZ)内で活動した」と突っぱね、両者の間に緊張が走った。
01年にも、同じ南シナ海上で米軍の偵察機と中国の戦闘機が接触墜落事故を起こしている。
どちらのケースも、秘密のベールに包まれた中国の軍事的な動きを探ろうとする米軍と、それを阻止しようとした中国側との衝突だ。両国関係が構造的に抱える緊張が、現実化した事例といえる。
昨年、台湾側で対中関係の改善を掲げた国民党の馬英九政権が誕生して以来、中国と台湾の間では着実に緊張緩和が進んでいる。
オバマ政権も、こうした動きを「促進していきたい」(クリントン国務長官)と支持している。だが一方で、台湾に戦闘機F16の売却を検討する構えは崩さない。
米国が台湾関係法に基づく軍事的支援をやめない限り、台湾問題は米中の間に横たわり続ける。
米シンクタンク、海軍分析センター(CNA)中国研究部長のフィンケルスタインは「中国にとって米国の存在そのものが国益に対する脅威となっているわけではない。米国の台湾に対する政策が脅威なのだ」と指摘する。
米国の対中政策は常に「関与」と「警戒・抑止」の幅の間で揺れている。各政権の政策は、どこにバランスを求めるかによって、そのときどきのスタンスが決まる構造になっている。
これは、いまは「関与」に軸足を置く構えのオバマ政権でも変わらない。ただし、「関与」「警戒・抑止」の度合いは、どちらも以前より強まり、両極端に振れているように見える。
元国務次官補代理のシュライバーは、こう表現して見せた。
「中国にとっても米国は、日本の再軍備を抑えるなど当面の地域安定化には役立つが、長期的にみればアジアで主導権を握るうえで邪魔になる存在だろう」
来月、北京で再会する予定のオバマと胡錦濤は、いまの両国間の微妙なバランスを、それぞれどんな言葉で表現するのだろうか。
(文中敬称略)