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中国、海軍大国への胎動 それは脅威になるのか

[Part2] 空母に合理性なし 「脅威」はミサイル
米国の見方 ゲーム変える?

米海軍作戦部長(海軍大将)のラフヘッドは今年4月、中国・青島で行われた海軍創設60周年を祝う国際観艦式に出席するため中国を訪れた際、中国海軍司令官の呉勝利と、次のようなやりとりを交わした。

ラフヘッド 「中国は空母(建造)を発表すると聞いています」
呉 「まだそこまで行っていません」

創設60周年を記念して開かれた中国海軍の国際観艦式で、お目見えした中国の宋(ソン)級潜水艦= 2009年4月23日、青島沖で(AP)

米メディアのインタビューにラフヘッドは「開発が進んでいることは分かっている。問題は、どこで、どのように運用するのか、だ」と語った。
米国が中国の空母建造に対し、年を追って関心を深めているのは確かだ。
今年3月、国防総省が議会に提出した中国の軍事力に関する年次報告書は、1ページを割いて「空母開発の現状」と題する囲み記事を載せている。前年の報告書でも言及されたが、長さは半分、中身も半信半疑というトーンだった。
だが今年は、艦載機パイロットの養成を始めているとの報道に触れたりして、建造が一層現実味を帯びてきたことを示唆。「中国海軍は、2020年までに複数の空母の建造を検討している」との見方で締めくくった。

photo:AP

ただ米国は、中国の空母保有は軍事的合理性に乏しいとみている。
最大の任務である台湾の「武力解放」に、空母は必ずしも必要ではない。空母の役割は、陸上基地から届かない場所での戦力展開だが、台湾海峡は幅200キロ足らず。大陸から飛び立つ航空機の作戦行動範囲だ。
図体が大きい分、敵の攻撃にもさらされやすい。「浮かぶ棺桶」とも呼ばれるゆえんだ。米国の場合、攻撃型原潜やイージス駆逐艦などを含めた6~10隻で部隊を編成し、空母を守りながら作戦行動する。効率的で迅速な指揮、統制、通信、情報伝達の能力も試される。
今の中国にまだそうした能力はない。今年7月に日本を訪れたラフヘッドは、記者会見で「米海軍も今のレベルに達するまで100年かかった」と空母運用の難しさを強調した。米側には「中国の空母を沈めるのは簡単。どんどん造ってもらいたい」との声すら聞かれる。

過激な「PROCEEDINGS」表紙。特集筆者の一人は、「ASBMが完成したら、米海軍は西太平洋で自由に行動できなくなる」と語った

米国にとって、中国軍の脅威は別のところにある。
今年5月。米海軍協会が発行する月刊誌「PROCEEDINGS」の表紙を生々しいイラストが飾った。爆発・炎上する米軍のニミッツ級空母の絵だ。
その号の特集は、中国が開発を進めている対艦弾道ミサイル(ASBM)。説明はないが、中国のASBM攻撃を受けた状況を描いたのは明らかだ。

中国のASBMは既存の中距離弾道ミサイルをベースに開発されており、米国の空母を狙うための兵器との見方がもっぱらだ。表紙の絵は、そうした懸念を率直に表現したものだ。
マッハ10というスピードで、しかも軌道を変えながら落下してくるため、迎撃は非常に難しい。最大射程は2000キロ。日本、東シナ海、南シナ海がすっぽり入る。
まだ「新顔」だが、研究者の間では早くも「ゲーム・チェンジャー(戦争のやり方を変えてしまうもの)」との指摘が出ている。

(文中敬称略)

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