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その胡錦濤は06年、海軍幹部との会議で「中国は海洋大国である」と宣言、「海洋権益を擁護するために強力な海軍が必要だ」と述べたとされる。
昨年3月。米太平洋軍司令官(海軍大将)のキーティングは、議会証言で中国軍幹部からある「提案」を受けたことを明らかにした。
「太平洋のハワイから東部を米国が、西部を中国がとるというのはどうか」
キーティングは「冗談だと思う」としつつも、「中国軍の戦略的な考え方を示唆している」と分析した。
もともと中国軍の最大課題は台湾の「武力解放」だ。海軍の戦略思想も「近海防衛」、すなわち日本の本州、沖縄から南シナ海を結ぶ「第1列島線」の内側を支配し、極東米軍の機能を低下させることだった。
次の段階が、小笠原諸島からマリアナ諸島をへてグアム島へ至る「第2列島線」までの海域。拓殖大学名誉教授の茅原郁生は「潜水艦を展開したりして米空母の行動を制約し、(中国の)沿海地域を米国の巡航ミサイルの射程外に置こうとするもの。
将来中国が台湾を攻撃する際の米軍の来援や介入の抑制・阻止を狙っている」と解説する。
中国が、「空母対空母」で米軍と正面から渡り合おうとしているとの見方は少ない。国産空母の実際の運用も、津波などの自然災害時の救援や、南シナ海で領土紛争を抱える沿岸国への威嚇として使われる程度ではないかと見られている。だが、中国海軍がより広範な海域を自由に行き来できる力をつけつつあるのは間違いない。
太平洋だけではない。中国政府はインド洋に面した友好国を積極的に援助して港を建設している。パキスタン、スリランカ、バングラデシュ、ミャンマー(ビルマ)……。インド亜大陸の南縁に沿ってシーレーンを包み込むように設けられている。
中国外務省報道局長の馬朝旭は「あくまで通常の商業目的」と強調するが、港湾計画は「“真珠の列”戦略」と呼ばれ、「軍事転用の可能性が高い」(インド外交筋)と見られている。
元防衛研究所研究室長の平松茂雄も、「『台湾統一』を達成した中国の次の目標は西太平洋とインド洋への進出」と指摘する。
最近、中国の海軍関係者や研究者が頻繁に引用しているのが、19世紀後半から20世紀初頭にかけて米国で活躍した著名な海軍戦略家、アルフレッド・マハンだ。マハンは代表的著作「海上権力史論」でこう述べている。
「広義の海軍戦略とは、戦時のみならず平時においても国家の海上権力(sea power)を建設・維持し、増強することにある」
(文中敬称略)