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ワットポー・マッサージ学校は、ワットポー(寺院)の敷地の外、通りを隔てたところにある。もともとは寺院の中にあったが、各国から生徒がたくさん集まるようになり、独立した建物になったのだという。

授業中の教室をのぞいてみた。マットレスを敷いた部屋に、生徒が2人一組になってずらりと並び、講師の声とともに、順番にマッサージの練習をしていた。
中には寝そべりながら教科書を盗み見して、次の手順を確認している生徒も。
授業を受けていた1人、デービッド・モスクリップさん(63)はイギリス・ポーツマス出身という。「休暇で4カ月タイに滞在することにしたから、せっかくならマッサージの資格をとろうかと思って」
お昼の時間になると、学生たちは屋上にある「学食」でタイ料理の昼食をとる。めん類やご飯を選び、おかずやデザートがついてくる。眼下に寺院を見ながら、世界各国の生徒がにぎやかにテーブルを囲む。


学校に、日本人のスタッフがいた。宮原由佳さん。ワットポー・マッサージ学校に来て8年になるという。
最初は短期間マッサージを習うだけのつもりでタイに来たが、上のコースへと進むうち、とうとう5年間の授業と実習を修了。いまは、マッサージを教える立場だ。
「家族がもともとマッサージ好きだったから、マッサージは身近な存在だった」という。
宮原さんに寺院の中を案内してもらった。壁には至る所に男女がペアになった「ツボの図」が描かれている。体の部位に線が引かれていて、何のツボかを示している。
門の近くには、不思議な格好をした銅像がたくさんある。88のマッサージのポーズを示しているのだという。近くでは、職人が銅像を修復していた。「本当は88体あるはずが、壊れたり盗まれたりして半分以下になってしまい、プリーダ理事長が職人に依頼して修復しているところ」なのだという。
銅像の向かいには、観光客を相手にした、ワットポーのマッサージ店があった。客を待つマッサージ師たちが、宮原さんに次々と話しかけてくる。
「私もここでずっと一緒に働いた時期があった。そのころからの仲間だから、みんな家族みたいなもの」。宮原さんも両手を合わせてあいさつを交わした。
建物の中は、ハーブのにおいが立ちこめていた。宮原さんがハーブを詰めて蒸してある布を手にポンポンと当ててくれた。それだけで、手が湿布をしたようにスーッとしてくる。
「この薬草もワットポーで育てています」。
ワットポーはバンコク郊外にハーブ園を持っていて、ハーブの組み合わせなどの研究を続けているという。
「ここは伝統のあるマッサージ学校であるとともに、新しいマッサージの伝統を生み出す場所でもある」というプリーダ理事長の言葉を思い出した。
(宮地ゆう)