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[Webオリジナル]世界はもみもみ

[第1回] パナソニックの戦略

マッサージチェアを作っている会社は、なぜかほとんどが大阪を拠点にしている。業界関係者に言わせると、「15分の間に全部やってもらいたい、という大阪人のせっかち気質を反映しているでは」とか。
シェアのトップを争うパナソニックも、大阪・門真市に本社を構える。マッサージチェアを作り始めて40周年を迎える今年、全く新しい方向へと商品開発のかじを切った。

それが「マッサージソファ」だ。見た目はふつうのソファと見間違えるほど。フットマッサージの足を乗せる部分は引き出しのように下に収まり、見えなくなる。ピンク、黄緑、赤、グレーなど、カバーを変えれば10色に変わる。
「マッサージチェアの市場は近年伸び悩んでおり、家庭での普及率は10~15%と頭打ちになっていた」(パナソニック広報)という。

パナソニック電工彦根工場。マッサージチェアを中心に、健康器具なども作っている=宮地ゆう撮影
パナソニック電工彦根工場。マッサージチェアを中心に、健康器具なども作っている=宮地ゆう撮影

これまで、買うのはもっぱら50代後半から60代以上の世代だった。「30~40代で、マンション住まいで、仕事をして疲れている人たちが、攻略できていなかった」
マンションのサラリーマン家庭を回り、どんなデザインでどのような大きさなら気軽に置いてもらえるのか、研究を重ねた。

結論は、「リビングに溶け込めるソファのようなマッサージチェア」。
従来、マッサージチェアと言えば、大きくて重いものと相場が決まっていた。「リビングに置くにはちょっと……」という声も多かった。しかも、1日の中でマッサージチェアに座る時間は多くても30分程度。残りの時間は場所を取る邪魔なものになりかねない。そんな理由から生み出した結論だった。

同時に、機能の妥協もしなかった。「いくらおしゃれでも、機能が不十分では意味がない」(同)からだ。
開発の中で苦労したのが、フットマッサージをする「オットマン」部分だった。フットマッサージの機能は人気が高いが、見た目が嫌、という人も少なくない。

椅子を分解する西谷さん。「社内外の様々な身長の人に乗ってもらってマッサージ感をチェックしてもらった」という=宮地ゆう撮影
椅子を分解する西谷さん。「社内外の様々な身長の人に乗ってもらってマッサージ感をチェックしてもらった」という=宮地ゆう撮影

オットマン開発の担当・西谷信行さん(31)は「収納できて、しかも簡単に出し入れするにはどうしたらいいのか、コンピューター上のシミュレーションだけでなく、紙を折ったり切ったりして考えた」という。
背もたれの高さも問題だった。背の高いイスは、部屋を狭く見せ、インテリアとしては敬遠されてしまう。背もたれを低くし、背中をより寝かせることで、もみ玉が動く範囲も伸ばし、身長185センチの人まで対応できるようにした。

値段も従来のマッサージチェアの約半分に抑えた。フルスペックのものより機能を絞った。
マッサージチェア開発歴19年の大輪昌俊さん(39)は「不景気の中で、本当に必要なものだけを買うという人が増えている。リビングに置けるものとして定着してくれれば」と期待を寄せている。
(宮地ゆう)

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