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「もむ」という仕事 では、日本はどうか

[Part3] 「マッサージ」とは何か
グレーゾーンは消えないままだ

クイックマッサージやリフレクソロジーは、誕生の当初から難題を抱えている。従来のマッサージ業界から「違法な無資格マッサージではないか」との指摘が消えないのだ。これに対しクイックマッサージなどの業界側は「私たちの行為は心を癒やすもの。健康を回復するためのマッサージとは違う」と反論している。

法律では、あん摩、マッサージ、指圧を仕事にできるのは、あん摩マッサージ指圧師か医師の資格を持つ人だけ、と定めている。ところが、あん摩、マッサージ、指圧とはどういう行為か、記述がない。
監督官庁の厚生労働省は「もむ、さする、押すという行為は無数のやり方があり、基準を示すのは難しい」(医事課)。その上で「人体に危険が及ぶ可能性があれば、行政としては指導しなければならない。何を危険とみなすかは、現場の保健所の職員が個別に判断する」という。

指導のよりどころは、60年の最高裁大法廷判決だ。「高周波療法」の是非が争われた刑事裁判で、医業類似行為を罰するのは「人の健康に害を及ぼすおそれ」があるときに限ると、結論づけた。
だが、仕事を奪われつつある視覚障害者らのクイックマッサージなどに対する反発は収まらない。IT(情報技術)の発達でパソコン入力作業など雇用の場が増えたとはいえ、今なお半数近くがあん摩マッサージ指圧師や鍼灸(しん・きゅう)師を仕事に選ぶ。不況で患者が減り、生活が立ち行かなくなる人も出てきている。
全日本鍼灸マッサージ師会など7団体は06年、36万人の署名を集めて有資格者の定義を明確にする法改正を求めた。同会は、有資格者を示すマークも独自に作り、無資格者との違いをアピールしている。

こうした現状に、「無資格者」の側も対応を余儀なくされている。07年に大手を含む約20社が「リラクセーション業振興協会」を結成。「『マッサージ』『治す』といった言葉を使わない」「強く圧力をかける手技はしない」などの自主ルールをつくった。ボディワーク社長も務める理事長の清水秀文(51)は「有資格者の嫌がることはしないで、共存を図っていく。国にも働きかけ、一つの産業として認めてもらえるようにしたい」と話している。(内藤尚志)

(文中敬称略)

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