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[Webオリジナル]製薬の未来を語る

[第8回] 「公的負担で子宮頸がんのワクチン接種を」

河村裕美・NPO法人オレンジティ理事長



ワクチンで防ぐことができる病気の中でも、子宮頸がん(注参照)をめぐる状況はひときわ深刻だ。日本だけでも亡くなる人が年間2500人。子宮や卵巣までとって一命をとりとめても、排尿排便の障害などの後遺症に悩み続けることになる。女性特有のがん患者を支えるNPO法人オレンジティ理事長の河村裕美さんもその一人。河村さんに、自らの経験を通してワクチンと検査の必要性を語ってもらった。
(6月24日、静岡県静岡市で、聞き手・松浦新)

(注)子宮頸がんは、ヒト・パピローマウイルス(HPV)が原因とされ、性交渉を通じて感染する。ありふれたウイルスで、性経験のある女性の70~80%が生涯で感染する。感染しても自然にウイルスがいなくなる人がほとんどだが、一部の人がHPVにさらされ続けて子宮頸がんになる。

 

かわむら・ひろみ オレンジティ理事長
 

―― 子宮頸がんであることは、どのようにわかったのですか。

河村 私は、99年7月4日に結婚して、1週間後の11日にわかりました。生理が重かったので近くの病院で診察を受けたところ、がんと診断されたのです。夫には「離婚してほしい」と切りだしました。私のがんとの闘病に夫の人生を巻き込んではいけないと思ったからです。母からも「離婚しなさい」と言われました。実際には離婚しないで、いまも仲良く暮らしています。

―― 子宮頸がん患者は、偏見にも悩まされると聞きました。

河村 子宮頸がんは、家族関係にも大きな影響を及ぼす病気です。性的にルーズだという偏見で見られますから。でも、感染は、多くの女性が経験しているのです。

―― その後、再発などはないのですか。

河村 再発はありません。でも、後遺症に悩まされています。まず、排尿排便の障害があります。トイレに行きたいという感覚がなくなるので、自分で一定の時間がたつなどしたら意識してトイレに行かないといけません。便は下剤を飲まないと出ません。

私は、子宮と卵巣、リンパ節も取りました。リンパ節を取ると、リンパ浮腫のリスクがあります。そのため、リンパマッサージを毎日しています。子宮と卵巣を摘出したので、すぐに卵巣欠落症候群(更年期障害)が始まりました。

―― 防ぐために、何ができるのでしょうか。

河村 がんが見つかる2年ほど前に検診で「精密検査が必要」という結果をもらいましたが、きちんと調べませんでした。その時に見つけていたら、子宮全摘は避けられたかもしれません。早く見つければ子宮を摘出せずにすみますから。最近は若い人に子宮頸がんが増えているので、子宮がん検診を受けてほしいと訴えています。

―― ワクチンがあることを知ったのはいつですか。

河村 2007年です。この時点ですでに90カ国でワクチンが承認されていました。そこで、子宮頸がんに関する正しい知識・情報の啓発のために「ティール&ホワイトリボンプロジェクト』(注)を始めました。活動の目標は、子宮頚がんの検診率をあげること、体験者が偏見を持たれないようにすることと、必要なら誰でもワクチンを公的負担で接種できる環境を実現すること、です。
(注)「ティール&ホワイトリボン」は乳がんのピンクリボン同様に、子宮頸がん啓発のシンボル。

―― 日本のワクチンの承認が遅いことは行政の怠慢だとは考えませんか

河村 80年代からワクチンの副作用をめぐって国の敗訴が続きました。裁判で国の責任が認められ大きな補償があったことで、ワクチンは危険という認識が生まれ、親としては子供に接種をさせることが怖くなります。しかし、行政は法律の裁量の中でしか判断ができません。法律は、国民の信任を受けた政治家が決めるので、政治に働きかけることを大切にしています。ですから、行政の怠慢というよりは、国民の理解と行動が一番重要だと考えます。

(注)河村さんの経験や考え方は、財団法人パブリックヘルスリサーチセンターの関連サイト「JPOP-VOICE」のなかで詳しく紹介されている。

 

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