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日本の若手デザイナーたちにも、変化は訪れている。
「世界にアピールする方法はパリ・コレだけじゃないと感じた」と話すのは、03年に東京コレクションでデビューしたミントデザインズのデザイナー、八木奈央(36)だ。
今年4月、ミラノ・サローネと同時期にミラノで開かれた「東京ファイバー’09 SENSEWARE」展に、ユニットを組む勝井北斗(36)と参加した。
日本の最新の人工繊維を使った作品を、建築家の隈研吾やアートディレクターの佐藤可士和ら様々な分野のアーティスト17組が表現する、という試みだ。
八木たちは、旭化成が開発した加熱成形しやすいポリエステルの不織布で、人やチンパンジーの顔をかたどった立体マスクを出展。高い評価を肌で感じることができたという。
服も一つのプロダクトデザイン、と考える彼らは「パリ・コレで活躍してきた先輩たちとは、価値観も動き方も違う」と言い切る。
かつて三宅一生や高田賢三が、いまも山本耀司や川久保玲が、パリ・コレでのショーを世界の晴れ舞台として心血を注ぐのとは、違うと。
最新技術と協業することで、ファッションの枠を越えた世界への売り出し方があることに気づいた、というのだ。

欧米で高い評価を得ている日本ブランド、sacai (サカイ)のデザイナー、阿部千登勢(43)も、従来型のパリ・コレには距離を置く一人だ。
コムデギャルソンで腕を磨き、99年、子育てのかたわら、自宅で作った5着のニットから自分のブランドを始めた。
ショーはやらず、一貫して展示会での作品発表にこだわってきた。「ショーで見栄えするためだけの服はつくりたくない」との思いから、「まず東京コレクションで、そしていずれパリ・コレでショーを」という多くのデザイナーが志す方向とは別の道を歩む。
一方で、ファストファッションについては、「確かに安くてかわいいけど、これがトレンドだといって、作り手の背景が見えない服をどんどん打ち出すのはどうか」と首をかしげる。
sacaiのコンセプトは「日常の上に成り立つデザイン」。オンとオフがはっきり分かれている欧米の服飾文化にはないテイストだ。
阿部は「私が日本人で、日本で暮らしているから作ることができるのだと思う」と話す。
オフィスでもディナーでも着られる、普通で普通じゃない服。ベーシックをひとひねりしたエレガントさが支持を集め、創業以来、売り上げが前年を下回ったことは一度もない。
国内だけでなく、パリのコレットやロンドンのドーバーストリートマーケットなど、今では世界30カ国120店の有力ショップや百貨店が彼女のブランドを扱う。
「東京ファイバー’09」展の展覧会ディレクターを務めたグラフィックデザイナーの原研哉は言う。
「パリ・コレ型のモードを追う限り、日本は受け手でしかない。自分たちの技術や文化の優位性を分析し、自覚して、欧米のものさしでは測れないものを携えて世界の興味のふたをこじ開けにいく時だ」
(文中敬称略)