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大きな変化の中で、既存の高級ブランドは状況打開策を見いだそうと苦心している。
5月末、不況に沈む世界のファッション界に、また暗いニュースが走った。
パリの有名ブランド、クリスチャン・ラクロワの破産保護申請が明らかになったからだ。
華麗な装飾と色使いで80年代に一世を風靡し、パリ・オートクチュールの「宝物」とも称されてきたが、高級品市場の急激な冷え込みには耐えられなかったようだ。

2月には、ミラノのジャンフランコ・フェレの親会社が新作ショーの直前に経営破綻。業績不振を理由にした有力ブランドの最高経営責任者(CEO)の交代やデザイナー解任も相次いだ。事態は「9.11」の米同時多発テロ直後の時よりも深刻そうだ。
今年5月までに発表された各ブランドグループの08年決算を見ると、中国やインドなど新興市場への出店などで売り上げは微増になったものの、利益を大きく減らしているケースがほとんどだ。AP通信は3月末、「イタリアの高級品業者組合は09年の世界の高級品売り上げが21%減ると予測している」と報じた。
80年代以後、高級ブランドは大量消費産業になるとの思惑から、投資グループによって系列化され、株価上昇を狙った急速な拡大路線が図られた。
デザイナーではなく経営のプロがトップに就任し、新作発表のショーもどんどん大掛かりになった。
より複雑でぜいたくな素材が使われ、巨額な宣伝費や豪華店舗の建設費も結果的に価格に上乗せされた。
こうした戦略が頭打ちになり、有力ブランドは「伝統回帰」や「卓抜した職人技による品質」を強調し、新興ブランドとの差別化を図ろうとしている。
また、昨年あたりから一部の中小ブランドに見られていた「価格見直し」の動きが、この夏、ついに大ブランドにも波及しそうな気配だ。
例えばグッチグループ。CEOのロバート・ポレットは「価格の高さで消費を誇示する時代は終わった。変化に対応するためには新たな価値と基準を考えざるを得ない」と話す。
ジョルジオ・アルマーニの経営責任者ジョン・フックスも「最高級からファストファッションに近いラインまで、それぞれの性格をより明確にしたい」と、多角化の徹底により適正価格を検討する考えだ。
だが、パリで有名ブランドのコンサルティングをしているジャンジャック・ピカールは手厳しい。「多くのブランドは、重病の宣告にショックを受けて、今後の治療法を考えている。大手術はこれから。だが、生きながらえるのは半分もない、とは気づいていない」
こうした中で、50近いブランドをもつコングロマリット、LVMHグループは5月、人気ロックグループU2のボノらがアフリカで立ち上げた現地生産ブランド「イードゥン」を傘下に加えた。ルイ・ヴィトンでも、今年からアート関連の企画を一気に増やすという。
途上国支援やアート活動といった新しい側面を取り込んでいくことで、生き残りを図ろうという構えなのだ。カルティエのCEO、ベルナール・フォーナスは言う。「老舗ブランドは、社会貢献などを含め、時を経ても褪せない価値を作っていくしかない」
(文中敬称略)