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入店を待って客が作る行列の横を、色鮮やかなカットソーやワンピースをぎっしりぶら下げたラックがひっきりなしに搬入口へと運ばれていく。


4月末にオープンした東京・原宿「フォーエバー21」。テレビや雑誌が大々的に取り上げたこともあって、5月末までに計43万人強、1日平均1万4000人以上が来店した。今も開店前から客が詰めかけ、定刻より早く店を開けることが多い。
場所は昨年オープンしたH&Mの隣。近くにGAP、ZARA、トップショップが並ぶ激戦区。だが、「21」創業者で会長のドン・チャンは「集客の相乗効果が見込める」とむしろ好条件を強調する。
タンクトップ980円、チュニック1480円、シフォンドレス2680円――。地下1階から地上4階まで、それぞれ趣向を変えたフロアにはじける様々な色、柄、デザイン。そして徹底した低価格。階によっては3日もすれば商品がすっかり入れ替わる。
売り切れた商品を再入荷することは、ほとんどない。「いま買わないと、次に来たときにはもうないかも」。そんな顧客心理も利用して、驚異的な回転率を実現している。
オープン時から売り場でスタッフをまとめてきたのは日本人店長だが、ロサンゼルス(LA)本部のスタッフも応援に乗り込み、各階で混雑をさばく。
日々の売り上げや売れ筋といったデータは、LAの本部が直接管理し、必要な数量を発注・発送する。少しでも早く安い商品を求めて、米国を中心に約2000社の仕入れ先を確保。各社ともデザインから製造、納品まで数週間のサイクルでこなす。
H&Mと「21」をはしごして買い物していた千葉市の会社員(28)は「H&Mの方が着こなしやすいが、『21』は休日の遊び着にちょうどいい。何より安い」。大阪市から来た看護師(23)は「7点買っても1万円足らず。同じような服を割高なデパートで買うのは、ばからしくなる」と話す。
「21」は今後、日本で100店以上の出店を目指すという。副社長のラリー・マイヤーは「消費者はますますスマートに、ファストファッションはもっとスピーディーになる。我々はその最先端で、今後もシェアを拡大していく」と自信満々だ。
「早くて安い」ファッションに、不景気という追い風が吹いていることは確かだ。特に日本は過熱気味。ブームという側面もある。
だが、ZARAやH&M、「21」は、世界的な景気後退に入る前から、拡大を続けてきた。価値観の変化やグローバル化が生んだ新たな潮流が、元に戻ることはないだろう。
(文中敬称略)