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[インタビュー]民主党 どう見る、どう語る

[第2回] “地方政党”化する民主党

個別所得補償とどぶ板で地方票開拓


 

民主党の特集をしようと編集部で決めたとき、話題の一つに上がったのが農業政策だ。一昨年の参院選で党が三大政策の一つに掲げた農家への個別所得補償制度の導入は、「ばらまき」と指摘されながらも、一人区での圧勝をもたらした要因の一つになったといわれる。「党内でぶれはないのか」「民主党は“地方政党”化を模索しているのか」「財源の根拠は?」。様々な疑問が浮かんだ。07年の参院選当時、金沢総局で石川県選挙区を担当していた当時を思い出しながら、取材を始めた。(築島 稔)

 

「農水キャラバン」で、新人候補を支援

私が取材班に加わったのは4月末。取材してすぐに実感したのは、民主党の「地方重視」の姿勢だった。

次期総選挙に向けて民主党は昨年から「農水キャラバン」を始めていた。農村地域を持つ選挙区に新人候補が立候補を予定している場合、農政に詳しい参院議員らがその選挙区に入って支持を広げるのがねらいだ。政権を取るためには地方の票が欠かせない。座長で農協出身の高橋千秋(参、三重)は言う。「民主党自身、農村に根付いた地盤がまだないのは事実。くさびを打つ努力を続けるしかない」。

民主党の農水キャラバンのシンポジウムを宣伝するために農家の人たちに声をかける党の新顔候補者=5月10日、岡山市内で、築島稔撮影

そこで一番に訴えられるのが、党の独自政策「戸別所得補償制度」だ。07年当時は1兆円規模の農家に対する制度だったが、現在は林業や水産業などに対象を広げて1兆4000億円規模の制度を提唱している。5月10日、キャラバンの一人として岡山市に赴いた平野達男(参、岩手)の説明も、戸別所得補償制度の話が大半を占めた。

平野は参院農水委員長で、民主党の戸別所得補償法案を提案した一人。「欧米ではすでに実施している制度」と実現できることを強調した。「ばらまき批判」に対しても、「いくら道路や建物をつくっても農家がいなくなってしまえば意味はありません」とこれまでの予算の使い道を批判し、予算組み替え論で対抗した。地方交付税も公共事業も減る中で、「農村への所得移転」という言葉を使って制度の必要性を訴えた。

地方に手厚く、都市住民から反感を買うのではないか。そうした疑問に、平野は「自給率を上げるためのコストだ。(都市部の)消費者にも話をしなければならない」と訴えもした。確かに党が掲げる「自給率アップ」「食の安全保障」は、都市部でも反感を買いにくい。岡山1区の新顔候補(39)も「農政に対する関心は都市部でも高く、反発は聞かない」という。

戸別所得補償制度は、コメやムギ、ダイズなどの農産物の市場価格が生産費用を下回った場合に、生産費の一部を補償しようという制度。つまり、消費者にとって高い関税などで維持されていた値段が下がり、かつ国産も価格が抑えられるというメリットがある。

農家への所得保障の主張、03年のマニフェストから

こうした農家への手厚い政策は、小沢前代表が強く訴えていたイメージが強く、小泉政権の反動と思っていた。だが、民主党の農業政策の根はもっと過去にさかのぼっていた。

党の農業政策は、米の生産調整の是非などでぶれはあるものの、根幹は一貫している。民主、自由合流直後の03年の総選挙のマニフェストですでに、戸別所得補償制度とほぼ同じ内容の直接支払い制度の導入を訴えていた。現在の民主党の農業政策の柱となっているのは、「農業再生プラン」(2004年)。04年の参院選、05年の総選挙でもマニフェストに盛り込まれた。この農業政策を主要な「武器」としたのが、小沢だった。

5月15日に東京財団主催で開かれたシンポジウムで、農水相の石破茂と同席したのは民主党の篠原孝(衆)。農水省出身。党最高顧問の元首相羽田孜に「農政をアピールして地方を民主党色にしなければならない」と請われて長野1区で立候補し、03年に比例で初当選した。民主党の「次の内閣」元農水相で、党の農業再生プラン作成の中心人物の一人でもある。自民党の助成が4ヘクタール以上の大規模農家を対象にしていることについて「規模拡大はできればした方がいいが、だからといって小規模農家を農政の対象から外すのはおかしい」と訴えた。

民主党の農業政策について自信をにじませて説明する衆院議員の篠原孝=5月8日、東京・永田町の衆院議員会館で、築島稔撮影

「私は民主党のように悪辣なビラをつくるつもりはない。やっぱりちょっとひどいよね」。このシンポジウムで石破は、07年の参院選で民主党が配った農業政策のマンガ版マニフェストを批判した。「全ての販売農家の所得は補償され農業が続けられます」と欧米並みの所得補償制度導入を訴えたビラに、耳当たりのいいことだけを書いていると、嫌悪感を示した。

篠原は、ビラの「品の悪さ」については認めたものの、政策の分かりやすさの重要性を指摘し、「民主と自民がせめぎ合って(日本の農政は)変わっていく」と訴えた。

農産物の輸入が自由化され、農業所得が減り、耕作放棄地が増え、後継者も少ない。農業政策の根幹は「どうやって農業に、ヒト、カネ、モノが増えていくようにインセンティブをつけていくことができるか」(石破)という点では、自民、民主とも一致している。

100%の正解はない。後継者が見込めず、農業所得も減っていく中で、自民党は主に大規模集約や集落営農を促して競争力のある農家を重視する。民主党は、まず、すべての販売農家に生産費と価格の差額を補償することで農村を維持しながら担い手を増やし、規模加算などで集約化に道筋をつける考えだ。

(次ページへ続く)

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