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自民党一辺倒だった経済界に、少し違う風が吹いている。
「民主党に政権担当能力はあるのでしょうか」
財界の論客として知られる武田薬品工業社長の長谷川閑史に、そう聞いてみた。
「社長を選ぶ前に『こんな欠点がある』と言ってみても仕方がない。いい経営ができるかどうかはやらせてみなければわからない」
5月13日の東京外国為替市場。
円相場は一時、1ドル=95円台まで上昇した。きっかけの一つになったのは、英BBCのインタビューに答えた民主党の「次の内閣」財務相、中川正春の発言だった。
「民主党が政権についたらドル建て米国債の購入を控える」。市場がドル不安に陥っていたからこその動きだったが、民主党の「次の内閣」財務相の発言が市場で材料視されることは、以前にはなかった。

財界では数年前から、岡田克也、前原誠司などの政治家について、現実主義的な政策を掲げていると評価する声が高まっていた。
日本経団連で政治対策委員長を務める大橋光夫(昭和電工会長)は「中堅・若手の国会議員はもう、自民党も民主党もほとんど差はない」と話す。
その一方、先月まで代表を務めた小沢一郎に対する評価は分かれる。その調整能力に対する期待がある半面、経済界が主張してきた消費税増税は封印され、農家への戸別補償など地方の自民票を奪うための「ばらまき」的手法への嫌悪をあからさまに示す財界人もいる。
5月の代表選で小沢路線の継承とみられた鳩山由紀夫が選ばれると、財界の一部に落胆の声も上がった。
経団連のある幹部は「岡田さんだったら、自民・民主とも『等距離外交』で臨む可能性もあったのに」と漏らす。
それでも、岡田が幹事長に就任したことで、民主党の政策を見極めようとの空気が広がっている。岡田に対する期待は、岡田が消費税増税や規制緩和など財界の主張に近い政策を掲げてきたからだ。
だが、その岡田の「環境重視」政策が経済界の利益とぶつかることを懸念する声も小さくない。
6月1日。経団連と民主党の首脳がずらりと顔をそろえる討論会があった。各トップが出席するのは、3年ぶりのことだ。
岡田は、温室効果ガス削減の2020年までの中期目標を「90年比で25%削減」とすることを主張して、「これは別名、『岡田案』と呼ばれているようだ」と話した。
これに反論したのが、東京電力社長の清水正孝。経団連で環境政策を担当する副会長だ。
清水は「民主党の提案は多大な国民負担を伴う。納得いく説明をしてほしい」と語気を強めた。
経済界と民主党の間は、近づきつつ、緊張も生み出している。
(文中敬称略)