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英国でも、「官僚主導」が問題視されたことがある。
「Yes Minister(はい、大臣)」という80年代のテレビのコメディーは、繰り返し再放送され、最近もDVDになった。
筋は毎回同じようなパターン。
大臣の指示を「おっしゃるとおりです」と迎合する官僚が、「ただ、ここは少し変えた方が」などと言葉巧みに誘導。結局、大臣を思い通りに操る。
4月3日。民主党本部を、駐日英国大使、デービッド・ウォレンが訪ね、菅に面会した。
英国を訪問するつもりだった菅は、ウォレンを質問攻めにした。
「官僚主導」の有無をたずねる菅に、ウォレンは、「『Yes Minister』という人気番組がある」ことに触れた。
ただ、ウォレンは、英国の官僚が政治家とのつきあいに一線を画していることも説明。たとえば外務官僚は、上司である外務大臣には頻繁に接触するが、日本のように入閣していない与党幹部や野党の有力政治家のところまで回ることは事実上禁じられている、と話した。
英政界はいま経費乱用問題で激しい批判にさらされ、試練に直面している。

議員や大臣が豪華テレビを購入したり、住宅手当をごまかしたり、と醜態をさらしている。
世論は、政治改革を迫り、政界からもさまざまな改革案が出ている。現在の完全小選挙区制を見直し、比例代表制選挙の導入を唱える大物閣僚もいる。
行政府(内閣)から立法府(議会)への権限移譲を進めるべきだとの議論もある。
背景には、イラク戦争もからむ。ブレア前政権は、世論の強い反対にもかかわらず戦争に突入した。開戦や海外派兵には議会の承認を必要とすべきだ、という意見も出ている。また、政府が国内の民意に従うより欧州連合(EU)の決定や、グローバル市場の要請に応えようとしている、との不満もある。
英サウサンプトン大学講師のアレクサンドラ・ケルソは「ここ30年ほど、政府に入る議員が多すぎるという批判が絶えない」という。「大臣」議員は当然ながら政府の方針に反対できないし、政府に説明責任を迫る委員会にも入れない。「政策を批判的にチェックするという議員の力が弱まる」というわけだ。
与党と政府が一体となった英国型の議院内閣制は、行政府と立法府が互いにチェックする「大統領制」より、むしろ強力で、時として「選ばれた独裁制(elective dictatorship)」に陥る。イラク戦争に突入したのもその一例だ。
英国に旅立つ直前の菅に、その点をどうみるか、たずねてみた。
「それは、政権交代をしたあとの応用問題だよ。先の先の話をしたってしょうがないじゃない」
と笑った。
(文中敬称略)