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特許バトルロイヤル

[Part4] 天敵模造品業者を傘下に

韓・中企業共闘が成功した


ソウル市西南部。「韓国のシリコンバレー」とも呼ばれ、IT・デジタル関連の企業が集まる加山洞地区の一角に、「ザルマンテック」が本社を構える。99年設立。コンピューターの中央演算処理装置(CPU)の温度上昇を抑えるクーラー装置が主製品で、パソコン愛好家らの間での知名度は世界的に高い。

始まりは約2年前。ある中国企業から、英文の電子メールが届いた。
「中国で模造品の販売禁止を求める訴訟を起こしたと聞いた。我々も『同業』だが、同じように訴訟を起こされたらやっていけない」「我々と合作してはどうか。貴社の製品を正当に販売し、他の会社が模造品を生産できないように協力する」。こんな内容だった。

中国と韓国の国旗が並んで立てられている「ザルマン深圳」の受付=稲田撮影
中国と韓国の国旗が並んで立てられている「ザルマン深圳」の受付=稲田撮影

ザルマンは特に中国での模造品の販売に頭を悩ませていた。
ザルマンの主な輸出先は米欧や日本で、中国市場にはほとんど入り込めなかった。最大の敵が模造品。品質は劣っても、価格は3分の1程度だった。

中国メーカーに模造品製造への警告文を送っても、反応はなし。業を煮やし、特に販売量の多い社を相手に提訴した。一審で勝訴したのが07年。「共闘要請」は、そんなころに来た。
広大な中国市場で裁判をいくら続けても費用がかさむ一方、模造品の根絶は難しい。それよりは1社を傘下に入れ、中国での拠点として製造・販売を認める一方、模造品製造業者の情報を集めれば、一石二鳥になる。

ザルマンはメールを送ってきた中国企業と協議、07年末、深セン(土へんに川)に65%出資の合弁会社をつくった。
その「ザルマン深セン(土へんに川)」の工場では、20歳前後の地元労働者たちが韓国から持ち込んだ機械を使い、金板の加工などに黙々と取り組んでいた。

総経理(社長)の陳潔明は「中韓共闘」という自身が考え出した「ビジネスモデル」の顚末(てん・まつ)を説明してくれた。
「ザルマン製品を見ていい製品だと思い、分解して、自分たちで作れる、と思った」と笑う。ザルマンの利益を侵害しているという実感はなかったというが、「裁判の話を聞き、自分が間違っていたなと。そこで双方に利益になる方法がないかと考えた」という。

合弁会社は現地生産拠点として成功し、ザルマン理事の徐珉煥は「中国での販売も年々伸び、模造品業者の情報も数多く手に入る」と語る。今後は韓国で生産している製品の一部も、深セン(土へんに川)に移すことを検討中だ。

2階の受付には、中国と韓国の国旗が握手するように並んで立てられていた。

(文中敬称略)

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