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特許バトルロイヤル

[Part2] 4年以上、社費で研修

サムスン知財部門は500人


半導体メモリーや液晶パネルで世界シェアトップを走るサムスン電子。特許分野でも「人材至上主義」は徹底している。エキスパートの自前の養成に、カネと時間を惜しみなく注いでいる。
その1人が、半導体部門担当のIP(知的財産)出願グループ長、金澤成( 46)だ。入社以来の二十数年のうち、あわせて4年あまりを、特許の専門家になるための研修にあてた。

ワシントンのオフィスで、米国弁護士から特許法や出願など実務についての教育を1年間受けた。本社の特許部門で働いた後、米ロースクールに留学。米国弁護士の資格を取得した。
大学で電子工学を学んだ金は、入社後、特許の重要性を少しずつ実感。92年、知的財産部門の人材を求める社内公募で採用されてこの道に入った。「特許のことはすべて会社で学んだ」

〝No Patent No Future〟(特許なくして、未来なし)。特許重視の経営の重要さを伝えるサムスン電子の社内ポスターには、こんな標語が踊っていた=サムスン電子提供
〝No Patent No Future〟(特許なくして、未来なし)。特許重視の経営の重要さを伝えるサムスン電子の社内ポスターには、こんな標語が踊っていた=サムスン電子提供

今は年に1~2度は米国に出張。ライバルに先んじ、競争力のある特許を確保できるように、現地の弁護士の能力を評価する一方、最新の判例や特許法の動向なども見て議論しながら、米国での出願戦略を検討する日々だ。

サムスンのIP戦略チーム担当の専務、安昇晧によると、特許戦略の柱は、「人材の質の向上」だ。社内の専門家育成には、主に三つのプログラムがあり、(1)米国のロースクールで弁護士資格を取る(3年)(2)ロースクールで法学を学ぶ(1年)(3)米国のローファーム(法律事務所)にインターンとして派遣(1年半)。どれも費用は、会社負担だ。年に計10人程度を送り出し、人材の厚みは年々、増している。
知財部門の陣容は、「特許経営革新」を打ち出した05年以降だけでも2倍以上に増え、いま500人を超えた。うち約100人が訴訟担当。残る400人は半導体や携帯電話など事業部門で特許出願などの業務を担う。

派手なスカウトも話題をさらった。
今年3月、米国弁護士で前国連大使の金鉉宗が、サムスンに新設された「グローバル法務責任者」となった。韓国政府外交通商省の通商交渉本部長として、米国との自由貿易協定(FTA)交渉を陣頭指揮した人物だ。

韓国メディアはこぞって、「閣僚級ポスト経験者が企業の経営陣に加わるのは異例」などと報じ、サムスンは「グローバル企業として特許経営を強化する中、核心的な役割を担うことになるだろう」と説明している。

今後は、巨大市場、中国での特許戦略が最大の課題だ。
中国メディアなどによると、昨年末、中国・杭州の裁判所で「サムスン敗訴」の判決が出た。地元の携帯電話メーカー「華立通信」が、特許を侵害されたとして、サムスンを訴えていた。サムスンは特許侵害を認定され、5千万元(約7億2500万円)の賠償を命じられた。

北京在住の日本人弁理士、島野公利は「一部の中国企業の『特許を活用する』という意識は、今や日本企業よりも高いとも言える。すぐに訴訟を起こすような対応はむしろ米国に近い。外国企業相手の特許紛争はさらに増加するだろう」とみる。

すでにサムスンは昨年、北京に知財オフィスを作って中国の動向を研究し始め、社員の在外研修でも、今後は、中国のロースクールで特許法を学ばせることも検討している。

(文中敬称略)

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