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パナソニックの傘下入りが決まった三洋電機だが、電池事業は積極姿勢を維持する。ホンダ、フォード、フォルクスワーゲンと日米欧に足場を築きつつ、販路の拡大も狙う。強さをどこで維持しようとしているのか。部品事業担当の本間充副社長に聞いた。
(2009年3月16日 大阪府守口市の三洋電機本社で。 聞き手・大宮司聡、田中美保、高橋万見子)

――従来のハイブリッド車に加えて、プラグインハイブリッド車や電気自動車が発売されるようになってきました。電池産業には追い風ですね。
本間充 電池で走る車のことを考えるときには走行距離、電池の寿命、コスト、インフラという4つの課題を考えなければいけません。理想は燃料電池車でしょうが普及にいたるまでにはまだかなりの時間を要する。それまではハイブリッド車やプラグインハイブリッド車が主流になるでしょう。電気自動車は小型車に限定して普及するかもしれませんが、セダンサイズになると走行距離や寿命、コストの点でなかなか消費者は手を出さないと思います。
――車載電池については、従来のニッケル水素電池からリチウムイオン電池へと関心が移りつつあります。
本間 同じ密度・出力ならリチウムイオン電池のほうが3分の1のサイズで済むので、車体を軽くでき、燃費効率もよくなりますから。今後、技術が確立し量産効果が出てコストダウンがはかれれば、需要は確実にリチウムイオン電池へとシフトする。2010年ごろから各自動車メーカーともリチウムイオン電池へと切り替えてくるでしょう。
――電池メーカー同士の競争も激しくなってきますね。
本間 電池を自国で開発・生産しようとの動きが各国で出てきています。オバマ政権も電池生産を積極的に支援する姿勢を見せています。やや心配なのは、米国などで「自国で生産された電池を優先的に使うべきだ」といった保護主義の流れが出てきていることです。これだけ景気が悪い中では当然かもしれませんが。
――米国など主要な需要が見込まれる海外市場に、電池の生産拠点を構築する予定はないのですか。
本間 電池生産は装置産業ですから、100本つくるのと10万本つくるのではコストがまったく違ってきます。主要部分は国内工場で大量生産し、輸送して現地で組み上げる、という方法が最もコスト競争力が高い。今後、生産拠点についてはできるだけ集約化をはかる方向です。
――電池メーカーによっては自動車メーカー1社だけと組んでいるところもあります。
本間 自動車メーカーにとっても、1社に100%依存していると何かトラブルがあったときにすべての生産が止まってしまいかねませんからリスクが大きい。各社とも表向きはともかく、水面下では複数の電池メーカーと交渉していますよ。三洋電機としても100%取引でなくていい。1社で30%シェアをとれるようにして20のメーカーとつきあえれば、トップになれますから。
――各社ごとの要求を聞いていたら効率が悪いのでは?
本間 将来的には電池も標準化されていくでしょうが、もう少し技術が確立してからですね。逆に現段階では各社から要求されるスペックがそれぞれ違うからこそ、複数メーカーと取引することで何を標準化したらいいかも見えてくると思っています。
――三洋電機の強みは何ですか。
本間 電池は、開発だけなら大学の研究所でもできる。しかし100~200万本つくっても安定した特性を維持できる技術がなければ、事業としては絶対に成功しません。正極、負極などの品質、巻いたとき、ずれが生じたときの問題、実測など、三洋には45年かけて蓄積した電池技術と量産技術がありますから、競争に勝つ自信はあります。
――工場を見せてはもらえないんですね。
本間 われわれは、自社で開発した電池設備が古くなったからといって、外に売るようなことは決してしません。ノウハウが漏れてしまうからです。設備を建設する際も、ラインを分割して複数社に発注します。全体像は三洋電機の技術者しか知りません。顧客も本当に限られた人に一部を見せるだけです。
――パナソニックとの統合で事業計画などに変更はないのですか?
本間 ありません。むしろ、「強化してほしい」と言われています。4月1日の組織変更で、ハイブリッド事業部を本社直轄にしました。相当な投資を予定していますので。もちろん市場の動向によって変更があるかもしれませんが、2015年までに累計800億円を投資する計画です。