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[インタビュー編]もっと plug-in

[第3回]

「 優れたハイブリッド技術さえあれば、どんな車でもつくれます 」

トヨタ自動車 瀧本正民副社長


 

環境技術においても、世界トップ――トヨタ自動車をそう評しても、過言ではないだろう。世界に先駆けて発売したハイブリッド車「プリウス」は、世界での累計販売台数が124万台を超えた。ここにきて、ようやく他メーカーも環境対応車の開発に本腰を入れ始めている。注目されているのが電気自動車だ。だが、トヨタは思いのほか慎重だという。技術部門を統括する瀧本正民副社長に理由を聞いた 。

(2009年3月30日、愛知県豊田市のトヨタ自動車本社で。聞き手・中川仁樹、高橋万見子 )

 

たきもと・まさたみ 1946年生まれ。70年トヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)入社。技術開発部門の担当を歴任し、専務などを経て05年6月から副社長。                            

――今年中にプラグインハイブリッド車を出されますが、今後、環境対応車の本命はプラグインハイブリッド車と考えているのですか?

瀧本正民 よくそうした質問を受けますが、トヨタはあくまで「適地・適時・適車」。つまり適した地域に、適したタイミングで、適した車を供給・販売していく方針です。

遠くない将来、石油の価格は再び上昇し、他のエネルギーへとシフトせざるをえなくなると思いますが、安く供給できるエネルギーが何になるかは国や地域によって違ってくる。そうであれば、自動車メーカーとしては多種多様なパワートレインの車を開発していくしかありません。

 

――電気自動車が主流になることはないと?

瀧本 つくるだけなら、電池とモーターと制御装置を組み合わせるだけですから、誰にでもできます。しかし、電気自動車の技術は何も今始まったわけじゃなくて100年前からは可能でした。問題は、電池の性能です。最新の電池でも、1回の充電で100kmも走れない。バッテリーを大量に積めば可能かもしれないが、コストを考えるとこれはもう「商品」とは言えません。

 

――電池の寿命を考えると、中古車市場も育ちにくいですね。 

瀧本 電池を新品に替えるのに何百万円もかかる、というのでは誰も買わないでしょうね。中古車市場がなければ、新車の価格も下がってしまうでしょう。ビジネスとして成り立つかどうかは疑問です。今まで電気自動車は3回失敗していますからね。慎重に構えておかないと。今はちょっと騒がれすぎという気もします。

結局、電気自動車は近距離を走る小型の車向け、というかなり限定された範囲でしか普及せず、主流はハイブリッド車やプラグインハイブリッド車になるのではないでしょうか。

 

――ガソリン車からハイブリッド車になると不要になる部品もあります。部品メーカーの中には将来を心配する声もあるようですが?

瀧本 将来、自動車がどのような方向に向かうにせよ、大切なのはどんな技術を持っているかです。しっかりした技術さえもっていれば、生かす機会は必ずあります。

 

――電池開発で提携しているパナソニックが三洋電機を傘下に収めました。

瀧本 トヨタが関知する話ではありません。パナソニックさんがどう考えるか、将来一緒に開発したい、あるいは、三洋の技術を使わせてもらいたい、といった話があるかもしれませんが、今はまったくありません。それに正直、自分たちの電池がいちばん優れていると思っていますから、他社の技術が必要とは現時点では考えていません。

 

――リチウムイオン電池の開発では出遅れているという見方もありますが?

瀧本 寿命や使われる条件に対する考え方は、電池メーカーより自動車メーカーのほうがはるかに厳しいのです。また、電池メーカーがこれまで手がけてきた携帯やパソコン向けといった民生用電池は、標準化した規格で大量生産する方式をとっていますが、自動車はもっと少ない数しか出ませんから、その中で採算がとれるようにしないといけない。

おのずと、電池メーカーのような設備とは違うものが必要になります。そうしたことを1つひとつ詰めている段階です。詳しくは競争なので言えませんが。

 

――自動車用電池もいずれ標準化されるのではありませんか?

瀧本 電池と車には相性があります。「大量生産していますから」と言われても、トヨタの車に合っていなければ使いません。モーターの特性や充放電のやり方などと関係する。電池開発は本当にむずかしいんです。「どんな車にしたいか」によって変わってきますから。

 

――経営環境が厳しい中で、全方位型の開発にも限界がありそうですが。

瀧本 私たちは、優れたハイブリッドシステムさえきちんと開発しておけば、どの自動車にも簡単に転用できると考えています。電池、モーター、制御装置といった技術は手の内にありますから、プラグインハイブリッド車なら充電装置をつなぐだけですむし、電気自動車ならエンジンと燃料タンクをはずせばいい。

コア技術として「ハイブリッドシステム」がある限り、「適地・適時・適車」は簡単なんです。それさえ押さえておけば、どんなパワートレインでもできますよ。

 

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