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自動車ほど目立たないが、電池産業は「ものづくり大国日本」が誇る一大勢力だ。世界の民生用蓄電池市場で日本は6割を占め、圧倒的優位に立つ。その優位性を、車載用の電池にも生かす流れにある。
だが、安全性は極めて重要だ。屋外で使うので温度差も激しいし、振動や衝撃が加わったり、水につかったりもする。一般の家電用に比べ、条件はずっと厳しい。
過去にも高密度の携帯用電池などで発火事故が起きた。自動車メーカー側は「電気自動車の場合、命に直結する大事故になりかねない。実際に販売に踏み切った後に1台でも発火しようものなら、二度と売れなくなる」と口をそろえる。
また、蓄電池工場は、水分やほこりを徹底的に取り除く設備が必要だ。供給体制を整える電池メーカーにしてみれば、量産に向け多額の投資をする以上、できるだけ確実な販売先が欲しい。
このため、主要な電池メーカーは、自動車メーカーと合弁会社をつくったり、共同開発の契約を結んだり、製品を出荷する約束をあらかじめ結んだりしている(右の表)。
ここでも各社の戦略は異なる。
三洋電機は、いわば「全方位外交」。「複数の顧客と取引したほうが量産効果も出るし、技術力も磨かれる」(本間充・三洋電機副社長)との戦略だ。同じ電機メーカーの日立グループも、ゼネラル・モーターズ(GM)以外へと販路を拡大している。
GSユアサは三菱自動車、ホンダと、それぞれ合弁子会社を設立した。ただし、どちらもGSユアサが51%の出資比率を確保し、主導権を握る。
「あくまで電池の会社であり、自動車メーカーの部品部隊ではないということ。製品を他メーカーにも販売していくことで両社から合意を得ている」(沢井研・経営戦略統括部課長)
一方、トヨタ―パナソニックや日産―NECのコンビは、自動車メーカー主導だ。自動車メーカーの要請に応じて、車種ごと、部品ごとに細部まで厳しい注文に応えていく。
パナソニック関係者は「1社に応えるだけでも電池メーカーとしての責任を果たすのは本当に大変」と、「全方位型」に疑問を投げかける。どの戦略に軍配が上がるかは、これからだ。

国際市場でも、自動車向け電池の開発競争が熱を帯びている。
昨年9月には、世界最大級の自動車部品会社、独ロバート・ボッシュとリチウムイオン電池大手の韓国サムスンSDIが合弁会社を設立。米国の部品会社ジョンソンコントロールズとフランスの電池大手サフトも手を組むなど、国境を越えた提携が進む。
携帯やパソコンが頭打ちとなり、電池ビジネスも苦しさを増していることが、各メーカーを一段と自動車向け電池へと走らせている。
昨秋、三洋電機はパナソニックの傘下に入ることが決まった。両社ともリチウムイオン電池の生産では世界5指に入る。巨大電池メーカーの誕生に、ライバルは警戒感を募らせる。
もっとも、電池分野については当面、三洋はパナソニックとは独立して動く。三洋幹部は言う。「パナソニックはトヨタとがっちり手を組みつつ、うちは、ほかのメーカーと関係を構築する。賢いやり方でしょ?」
(高橋万見子)
[文中敬称略]