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すべてが新しい。6階建ての真新しい本社ビルのすぐ裏では、工場新設のための工事が進む。地上18階建て従業員寮が7棟連なり、拡張工事も急ピッチで進んでいる。
仕事を終え、工場から出てくる従業員も若い。
正門近くで従業員に声をかけた。車の設計に携わるエンジニアだった。湖南省から出てきたという。「日本から見ると、技術的に遅れているとバカにしてるでしょう」

24歳の青年は「でも」と、言葉を継いだ。「私たちの会社の発展の速度は米国や日本のそれよりずっと速い。発展の空間が無限にあるように感じる」
カリスマ的なオーナーであるBYD総裁の王伝福は「2025年には、世界最大の自動車メーカーにしよう」と従業員に繰り返しているという。
欧米や日本の自動車会社と、ガソリン車で勝負しても勝ち目はないが、リチウムイオン電池のエコカーなら勝算もあるということだろう。会社案内には「電気自動車と自動車用電池のフロントランナーとして、新しい時代を切り開く」とある。
今のところ、F3DMは深?市政府や大手銀行向けの試行販売だ。「車として未完成」との指摘もある。試乗経験者によると、ガソリン車の車体に電池を乗せて300kgも重くなったためか、カーブを曲がった後にハンドルがうまく戻らなかったという。「高速道路を電気自動車モードで走ったが、バッテリーが低下して、時速40~80kmしか出なかった」という試乗リポートもある。
ただ、中国で今後、電気自動車が爆発的に広がる可能性はある。政府が補助金を出すなど、国を挙げてBYDなどの電気自動車メーカーを支援しているためだ。
電気自転車がすでに9000万台近く普及しているのも追い風だ。日本の電動アシスト自転車と全く異なり、ペダルをこぐ必要もない。見た目はスクーターと同じ。帰宅すると、バッテリーを取り外し、家庭のコンセントにつなぐ習慣は定着している。
13億人という圧倒的な人口。その利点を生かし、中国の自動車メーカーが世界一になる日が、いずれ来るのだろうか。
(奥寺淳)
[文中敬称略]