TOPへ
RSS

日本の遺産。世界に通用する普遍的価値とは?

[Part3]海でできたことが、陸でできないはずがない 日本の立場損なわず現地へ

元外務省主任分析官の佐藤優氏に聞いた。
――平和公園構想をどう見ますか。
構想を考えた人たちは、頭がいい。四島(の係争性)を薄めようというのが、ウルップ島まで含めた構想のミソです。四島だけだと、(日本の領土なのだから)日本はロシアと共同申請することはできません。
北方領土交渉を前進させるためには一歩引いて、生態系を重視し、環境保全を図るというロシアにとっても否定しにくい理由で、ロシアの乱開発にストップをかけるのがよい。日本人が日本の立場を損なわずに現地に入る大義名分ができます。例えば環境保護員のような形で、現地に渡れる形を作る。それが、ロシアの不法占拠の固定化を防ぐことにもなります。
北方四島海域では、日本の法的立場を損なわずに日本の漁船が操業を行うことが可能になりました。海でできることが陸でできないはずがない。メドベージェフ大統領もこの構想を否定していませんね。
――では、構想は実現できますか。
日本の外務省は1月28日に失態を演じた。人道支援物資を積んだ船で国後島に向かった日本の訪問団が、ロシア側に出入国カードを要求されたとして上陸を断念した。テロ対策を担当する連邦移民局による、世界基準では至極当然の行動でした。ロシア側は、大筋においてパスポートやビザが確保されてさえいれば、細かいことで「だからロシア領と認めた」と言ってはきません。ところが、外務省はこの細事をわざわざ公にしてしまった。
ビザなし交流はソ連崩壊直前に弱みにつけこんで実現した。今は力関係が逆転しているのに、拳をふりあげたらやぶへび。そういう計算ができないようなら、平和公園構想のような芸当は当面はできないでしょう。

取材記者略歴

松田史朗(まつだ・しろう)
64年生まれ。政治部、社会部を経て06年から特別報道チーム記者。
国末憲人(くにすえ・のりと)
63年生まれ。広島支局、大阪社会部、外報部デスクなどを経て07年からパリ支局長。

朝日新聞ご購読のお申し込みはこちら

世界のどこかで、日本の明日を考える 朝日新聞グローブとは?

Editor’s Note 編集長 新創刊のあいさつ

このページの先頭へ