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Memo02

政治 vs 中央銀行 独立性はなぜ必要か

9月末、東京・赤坂にある日銀の氷川寮で、白川と経財相の与謝野は昼食をともにした。氷川寮は1965年、山一証券の経営危機の際、当時の田中角栄蔵相が日銀の特別融資を決めた舞台として知られる。
その席で、白川と与謝野は、リーマン・ブラザーズ破綻(は・たん)後の金融情勢などについて意見を交わした。だが、金融政策の話は一切出なかった。

日銀に露骨な圧力をかける政治家が珍しくない中、与謝野は日銀の独立性を尊重する政治家として知られてきた。それだけに、10月末、利下げを促すかのような与謝野の発言は、日銀には衝撃だった。

なぜ、世界の主要国の中央銀行は、程度の差こそあれ、独立性を尊重されているのだろうか。
中央銀行の大きな使命は「物価の安定」である。中央銀行に独立性が乏しいと、政治からの圧力を受けるままにお札を刷り、インフレを招く危険が高くなる。選挙のことが頭から離れない政治家は、金融を緩め続ける誘惑に勝てず、景気が過熱しがちになる、とは歴史が教えるところだ。

高いインフレ率は、一時的に好況をもたらすようにみえても、結果的に経済全体の生産性は低くなり、経済成長が鈍る。通貨の価値が下がることで、過去の政府の借金は実質的に減るが、庶民の生活は苦しくなる。
景気の過熱は、一般の商品のインフレだけでなく、土地や株価のインフレ(資産バブル)という形であらわれることもある。ただ、この問題への対応は、中央銀行によって異なる。FRBは、独立性が高い中央銀行として知られるが、住宅バブルを抑制することはできなかった。

日本銀行の独立性は、98年の法改正で高まった。政府は、日銀総裁らの人事権をもつが、金融政策の決定を覆すことはできない。ただ、日銀の会議に代表を送り込み、議案に不服の場合、議決延期を請求する権利がある。

10月31日の決定会合を前に、政府内には利下げ期待があった。もし、日銀が利下げをしなかったとしたら、政府はどう動いたか。
内閣府と財務省はそれぞれ内々の検討を行っている。与謝野は、利下げをしない場合も、延期請求権を行使しないと決めていた。一方、財務省は、利下げ提案がないことがわかったら、副大臣の竹下亘がいったん議事を止め、財務相の中川昭一と電話で対応を相談する段取りになっていた。

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