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メディアが、溶けていく Media Meltdown 03 気がつけば「紙」はなくなっていた

[Part2]社員30人で全米6位 地方紙の機能のみこむ

広大な国土に街が点在するアメリカでは、ローカル紙の3行広告がそこに住む人たちの情報交換に役立ってきた。そこに、新たな参入者が現れた。
サンフランシスコ郊外にある「Craigslist(クレイグスリスト)」(sfbay.craigslist.org)。社屋は古ぼけた一軒家で、社員は30人弱しかいない。だが、そのサイトは全世界で約5千万人が利用し、毎月新たに3500万件の投稿がある。閲覧数はヤフー、グーグルなどに次ぐ全米6位だ。

企業の求人や不動産の賃貸情報から、落とし物やペットの里親探しまで。それは、一般の人も投稿する短行広告を集めた巨大な「掲示板」だ。
地域ごとのトップページを開くと「住宅」「個人」「売ります」などの大項目があり、その下にさらに小項目がぶらさがる。たとえば「売ります」の項には、「美術・工芸」「本」「車・トラック」といった具合だ。

便利にしただけ

03 気がつけば「紙」はなくなっていた 02
クレイグスリストのCEO、ジム・バックマスター=米サンフランシスコ、赤田康和撮影

「クラシファイド(分類された)広告」と呼ばれるこの形態は、もともと米国で地方紙の有料広告欄として発達した。住民は新聞社にお金を払って「車売ります」といった広告を載せる。大企業の広告が見込めないローカル紙にとっては主要な収入源でもあった。
クレイグスリストは、そこに切り込んだ。創業は1995年。当初は創業者のクレイグ・ニューマークが電子メールで友人のためにイベント案内などをリストにして送る、趣味程度の事業だったという。

だが、現CEO(最高経営責任者)のジム・バックマスター(46)が2000年に加わる。バックマスターは、プロセスのほとんどをユーザーの手にゆだねる自動化を推進し、事業を急拡大した。
バックマスターはうれしそうに言う。
「クレイグスリストを使って、人生のすべてをそろえたという人がいるんだ。仕事やアパートを探し、車を買い、配偶者を見つけた、ってね」

地域ごとにページがあり、そのカバーは50カ国超、約570地域に及ぶ。日本でも東京、福岡など7都市で英文サイトを設けている。文字ばかりが並ぶ素っ気ないものだが、「使いやすさを追求したら、このデザインになった」とバックマスター。企業の求人情報などをのぞけば、基本的に広告掲載は無料だ。
そのやり方は、米国の地方紙の経営を窮地に追い込んだ、と指摘されることが多い。
だがバックマスターは反論する。「新聞社をやっつけたいわけじゃないよ。技術を生かしたら、ただで便利なものができただけさ」

(文中敬称略)

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