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03 ノルウェー、そして日本 35。40'N Hammerfest,Norway

[Part1]開発は前進させます。でも“注意深く”です。

【北緯70度39分、ノルウェー・ハンメルフェスト】
「炭素税が高いからね。二酸化炭素を埋めて節税するんだよ」

7月14日、北極圏にあるハンメルフェスト市。ノルウェーの半官半民のエネルギー企業、スタットオイルハイドロのスベーレ・コジェダール支社広報部長は、にこやかに話した。

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昨年から操業を始めたスノービットガス田のプラント。オペレーターのスタットオイルハイドロハンメルフェスト支社のスベーレ・コジェダール広報部長が案内してくれた=7月14日、ノルウェー・ハンメルフェスト市で

ノルウェー政府は、地球温暖化防止策として、二酸化炭素を排出する企業に炭素税をかける。

ハンメルフェストの沖合にある世界最北の「スノービットガス田」のプラントは、昨年夏から操業。今年春からは、天然ガスから二酸化炭素を分離して、地中に埋め込み始めている。このプラントでは1トンあたり350クローネ(7000円相当)の炭素税がかかるため、年間50億円近い節税となる。設備投資にかかる費用はやがて回収できるという。

世界第5位の原油輸出国であるノルウェーを支えてきたのは、英国との間にある北海油田。しかし、すでに石油の生産は減り始め、あと数十年で枯渇するといわれる。ノルウェーは、その目を北極圏のバレンツ海に向け、開発に乗り出している。ただ、その手法は、ロシアと好対照をなす。「環境重視」を国際的にPRしながら、海外の企業にも広く門戸を開く、ソフトな資源戦略だ。

首都オスロで会った石油エネルギー省のリブモニカ・ストブホルト副大臣は、「私たちは北極圏の開発を前進させますよ。でも、“注意深く”です」と話した。試掘によって出た土や施設からの排水などを海に残してはいけない規制があることや、水力発電に力を入れている姿勢を次々と挙げた。二酸化炭素を地中に埋め込む技術についても「化石燃料を使わない社会が訪れるまでの重要なブリッジ(つなぎ)です」と熱をこめた。

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ノルウェーの北極開発について語る、石油エネルギー省のリブモニカ・ストブホルト副大臣=7月18日、オスロ市の石油エネルギー省で

まるで環境省幹部のような言いぶりだったが、こうつけ加えることも忘れない。「ノルウェーの開発への門戸は開かれている。さらに多くの企業が参画してくれることを望んでいます」

ノルウェーで企業が石油開発を行う場合、法人税に加えて特別な税がかけられ、税率は合計で78%にもなる。ただ、操業につながらなかった開発投資の資金も損金として認めるなど、世界中の企業に鉱区への入札を促す形で、石油開発を進めようとしている。入札に参加する資格をとった企業は、ここ10年で2倍以上に増え、60社になった。

そのうちの1社が、出光興産のグループ会社、「出光ペトロリアムノルゲ」。

北海の油田開発のため1989年に設立された。北海に6つの油田群をもち、1日3万バレルを生産する。日本人と現地スタッフあわせて35人の小さな会社が、従業員7000人を抱える出光グループ全体の営業利益の7割(今年3月期)をたたき出した。

同社は、日本企業として初めて、北極圏の開発にも手を挙げた。昨年7月、スノービットガス田からおよそ30キロ南にある鉱区への入札に参加したのだ。落札はできなかったが、今年も近くの別の鉱区での入札に参加する。

大島肇副社長は「今、北極圏に参入しないと、世界の動きに取り残される。10年後の利益が見込める場所を失うことになる」と危機感をあらわにする。

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