Editor's Note 編集長から

「認知症という海」を前にして

紙面リニューアルの記念イベントを4月15日に開きました。抽選でご招待した読者の方々70人が参加し、盛況でした。「見出しを読み解く」筆者のロッシェル・カップさんのお話こちらの記事、渡辺雅隆・弊社社長とのディスカッションやイベント全体の雰囲気はこちらの記事をご覧下さい。


イベントでは私も少しだけお話ししましたが、舌が回らず、内容も堅苦しかった記憶が……。今号の「人前でうまく話すには」を熟読しなければならないようです。


今号の巻頭特集は、認知症をとりあげました。医学の進歩や、豊かで平和な社会の実現を通じて人類が到達した「長寿社会」。そこで直面した難問の大きさを表現しようと、取材班が選んだタイトルが「認知症という海」でした。


私事にわたりますが、実は私の母も80歳を過ぎてから、認知症が進みました。例えば、足の骨折で手術が必要になったとき、以前であればなんと言うことのない短期入院が、本人にとって耐え難い環境変化になり、パニックをもたらします。一つのことに注意を向ける力が衰え、リハビリへの集中も難しくなりました。


医師や看護師、理学療法士、施設のスタッフ、様々な方々の支えのおかげで、今は安定を取り戻しています。それだけに、日本だけでも700万人が認知症になる時代のことを考えると、必要になる支えの大きさに呆然とします。人々が「特効薬」ができる日を待ち望むのは当然かもしれません。


ただ一方で、これだけ長生きするようになった人間のあり方として、脳の働きがゆっくり衰えていくこと自体は、当然のことのように感じるようにもなりました。記事で紹介した佐々木孝さんの次の言葉が、身に沁みます。「病、老化、そして死も、生きることの大事な要素です。それを、ばい菌のように排除し、見ないようにすれば、やわな社会になってしまうと思うのです」




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