満州事変がおきた1931年、アメリカで大ベストセラーが生まれました。特集でも名前を挙げたパール・バックの作品「大地」です。ピュリツァー賞を受賞。バックはのちに、アメリカ人女性初のノーベル文学賞に輝きます。
バックは、清末から20世紀にかけての動乱期を懸命に生きる中国人の姿をあたたかい筆致で描きました。当時のアメリカの対中世論に与えた影響は小さくないと言われています。
彼女は中国に渡った宣教師の娘で、前半生のほとんどを中国で過ごしました。「アメリカ人の中国像をかたちづくったのは、宣教師と、各地にあるチャイナタウンだ」と、対中外交史を研究している学者に聞いたことがあります。
国際関係は政治で左右され、浮沈をくりかえします。そこを一枚むいて、米中の相互イメージの底流をさぐってみたい。それが今回の特集のねらいです。
(今回の特集は「アメリカと中国」です)