Editor's Note 編集長から

[小三治師匠とピアノ]





落語家の柳家小三治師匠(74)に「歌ま・く・ら ボクは歌の好きな少年だった」というCDがあります。落語ではなく、師匠がピアニストの岡田知子さんの伴奏で歌ったコンサートのライブ・アルバムです。


歌のあいまに、師匠は音楽との出会いを語ります。昭和20年代、焼け跡の残る東京で、ラジオから流れていた歌に夢中になったこと。小学校3年生で選ばれて学芸会で独唱したこと。そして5年生のときに転校した学校には、空襲を免れたピアノがありました。


ある日、音楽の先生に「放課後、音楽室に来て」と告げられます。歌の練習でした。先生のピアノの伴奏で歌う日が続きます。コンテストのためではありません。少年の才能を評価した課外授業でした。


60を過ぎて練習を再開した師匠の歌には、プロとは違う不思議な温かみがあります。「古いオルガン」「山のけむり」といった昔のラジオ歌謡がレパートリーです。音楽を聴くのはラジオ。楽器と言えばピアノ。今特集からあの時代を思い起こす読者もいらっしゃるでしょう。


(今回の特集は「ピアノは鳴り続ける」です)


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