Editor's Note 編集長から

[欧州の実験]




パリからドイツのフランクフルトに飛んだのは、5年前のことでした。国境を越えたのにパスポートを見せる必要も、両替の必要もありません。国内旅行をしているようです。これが欧州連合(EU)か、と実感しました。


しかし、国のありようは様々です。ドイツの人々はどこまでも律儀ですが、イタリアでは(90年代の体験なので今では改まっているかもしれません)、ホテルで領収書なしの割安の裏レートを示されました。EUの南北対立を聞くと、今もこの話を思い出します。


巻頭特集でみたように、欧州連合はただちに「欧州合衆国」になるわけではありません。かといって、崩壊して逆戻りするわけでもありません。その中間のなにものかであり、現実に巨大な影響力を発揮しています。


肝心なことは、近代国家が誕生した欧州の地で、国家の枠を超える実験が続いているということです。相互依存の深まる世界では、どの国もひとりでは生きられません。摩擦をコントロールしながら、共存共栄する知恵が必要なのです。




(今回の特集は「未確認政治物体EU」です)


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