Editor's Note 編集長から

[ロッガッドー]




故郷鹿児島で過ごした幼いころ、夏の訪れを告げるのは神社の祭りでした。日が暮れると、境内に灯ろうが掲げられ、裸電球をつるした露店では、綿菓子の機械がうなり、イカ焼きの香ばしいにおいが漂っていました。


その祭りを地元では「ロッガッドー」とよんでいました。それが「六月灯」と書くことを知ったのは、学校に通うようになってからです。金魚すくいをしたり、友だちと夜店をのぞきながらラムネを飲みました。毎年その祭りが来るのが楽しみでした。


六月灯は旧に伝わる夏祭りで、旧暦6月に開かれることに名は由来します。藩主が祖先をまつったことから始まったとか、田畑の害虫駆除を祈る行事が発展したとか、諸説ありますが、私の子どもの頃には、すでに浴衣姿で楽しむ夏の風物詩になっていました。


伝統とは、歳月の中でもまれ、再生されるものです。祭りもそうでしょう。人はときに日常のつらさを忘れたいと思い、「異なる時間」の流れる場を求めます。形は変えつつも、祭りは生き続けています。


(今回の特集は「祭」です)

世界のどこかで、日本の明日を考える 朝日新聞グローブとは?