Editor's Note 編集長から

[『永遠』を見る]





学校の教室で習ったことは、残念ながらほとんど忘れてしまいましたが、不思議なことに、先生たちが本題から脱線して語った雑談のほうはよく覚えているものです。


私が思い出すのは高校の世界史の先生です。熱い語り口の人でした。「ヨーロッパ中世を知るには、ヘッセの小説『知と愛』を読みなさい」とすすめる一方、受験に関係のない歴史学界の最新の学説なども教えてくれました。その先生が、「時」についてこう話したことがありました。


「どんなに長く生きても、人間の人生は、『永遠』という時間の前には、しょせん一瞬の存在にすぎません。肝心なことはむしろ、その瞬間に『永遠』を見るような濃密な時間を、一生の間にどれだけ持てるかです」。


「永遠」を見るような時間とは、人それぞれでしょう。愛する人と心が通じ合ったとき、あるいは自分の使命を果たしたと思えるとき、そのように感じるかもしれません。効率や速さを競う時代だからこそ、「時」の質と深さを大切にしたいのです。


(今回の特集は「時をはかる」です)

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