Editor's Note 編集長から

[ヨーグルトきのこ]




ワシントンには2001年の同時多発テロを挟んで2回勤務しました。当然のことながら「9・11後」の米国の空気は一変していました。


特集でも紹介した炭疽菌事件は全米をパニックに陥れましたが、その後も、白い粉の入った封筒が見つかるたびに、議会や郵便局、軍の施設、国際機関などが閉鎖される騒ぎが続きました。私の仕事場でも郵便物に神経をぴりぴりさせた時期がありました。


その前に暮らしたロシアでは、旧ソ連時代の炭疽菌兵器施設などの解体が大問題でした。「菌」と聞くと一瞬緊張する。いっとき、そんな記者生活を送っていたのは確かです。


ただ、今号の菌特集を読んで、懐かしい味も思い出しました。モスクワに住んでいたころ、街の屋台やレストラン、知人宅の食卓に出たクワス(黒パンを発酵させて作る清涼飲料水)、ケフィール(別名「ヨーグルトきのこ」)、スメタナ(ボルシチなどに加える発酵乳)です。当時はなかなか手に入らなかった納豆に代わって、私の大好物となったロシア伝統の味です。


(今回の特集は「菌のちから」です)

西村陽一編集長

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