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映画クロスレビュー

『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』 - 「隠れホームレス」の母子に迫る現実

[第139回]



Review02 クラウディア・プイグ 評価:★★★★(満点は星4つ)


人間の立ち直る力、美しく


破綻の一歩手前で生きる人たちの日常に焦点を当てた作品だ。6歳の少女ムーニーのことが最初からずっと心配で、目が離せない。少女を演じるブルックリン・K・プリンスの演技はとても自然で表情が豊か。それだけに物語は悲痛。過酷な状況を受け入れる少女を見ると、どうか大きくなってもあふれる熱意をなくさないで欲しいと願う。


ショーン・ベイカー監督が描く世界はパステルカラーのファンタジーのようだが、暗い悲劇の面をまとう。舞台となるモーテルは、ディズニー・ワールドのすぐそばにあり、「地球で最も幸せな場所」とうたっているが、逆だろう。それに気づかないでいるムーニーとその友だちの日々は冒険に満ちている。アレクシス・サベの撮影技法も見事で、美しさはもっともなさそうな場所でよく見つかることを証明している。


ウィレム・デフォー演じるモーテルの管理人ボビーは、並外れた忍耐力や人間味があって、モーテルで暮らす子どもたちにとっては父親的な存在。その演技は驚くほど控えめで、優しさに満ちている。今年のアカデミー助演男優賞は、彼が受賞すべきだった。


舞台は過酷だが、人生を肯定する物語。美しく描かれているのは、貧困と人間の立ち直る力だ。



Claudia Puig

ロサンゼルス映画批評家協会会長、米公共ラジオNPRの映画番組解説者。米紙USA Todayで2001~15年に主任映画評者を務めた。


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