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映画クロスレビュー

『ワンダーウーマン』 アメコミ史上初の女性ヒーロー、実写化

[第131回]

© 2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC



パティ・ジェンキンス監督=山本裕之撮影

パティ・ジェンキンス監督へのインタビューをGLOBE「シネマニア・リポート[#59]」に掲載


(公式サイトはこちらからどうぞ)










みどころ

第1次大戦のさなか、女性だけのアマゾン族が暮らす島セミッシラでは王女ダイアナ(ガル・ガドット)が、叔母アンティオペ(ロビン・ライト)と鍛錬を積んでいた。そこへ米国人大尉スティーブ(クリス・パイン)が小型飛行機で不時着。彼からドイツ軍の毒ガス兵器開発計画を知ったダイアナは、阻止すべく共にロンドンへ。さらに戦地ベルギーへ赴く。アメコミ史上初の女性スーパーヒーローの実写化。(2017年、米国、パティ・ジェンキンス監督、全国順次公開中)





Review01 樋口尚文 評価:★★★(満点は★4つ)


男目線のエロス吹っ飛ばす


『レッドソニア』やあまたのRPGゲームに出てくる欧米発想の「女剣闘士」がどうにもカッコよく思えないのは、あのビキニアーマーに太い剣を振り回す女という意匠が、到底戦える女性のアイコンとは思えないからだろう。こんな女剣闘士のいでたちは、戦前のパルプマガジンなどが男性好みのお色気狙いで生み出したものらしく、かつて女部族を描いた映画『アマゾネス』も、男性目線のエロティックさが目立った。


しかし本作で描かれる女部族の島では、女王の崇高な志のもと、女たちは厳格なる武闘の研鑽にいそしむ。そこで生まれ育った麗しき主人公ダイアナ(ガル・ガドット)は、ビキニアーマー的衣装に剣と盾というおなじみの姿でありながら、なんと第1次世界大戦末期のベルギーに侵攻したドイツ軍と戦うのだが、ここの描写のハードさとダイアナの勇壮な雰囲気がとてもいい。


逸材ガル・ガドットは、ずばぬけた美しさ、雄々しさ、そして速さ、激しさによって、ワンダーウーマンの意匠がもともとはらむ男性への媚態を吹っ飛ばしている感じで、映画に出て来る女剣闘士をこの映画で初めて爽快でカッコいいと思った。


これは何より、女性監督ジェンキンスの貢献が大きいはずだ。実は本作自体が、超大作の監督を女性に委ねてこなかったハリウッドの歴史を、同監督が前作『モンスター』から14年かけて(!)くつがえすという一大ドラマなのであった。これは本作の突き抜けたヒロインのあり方そのままではないか。



Higuchi Naofumi

1962年生まれ。映画批評家・監督。著書に「大島渚のすべて」「黒澤明の映画術」「実相寺昭雄 才気の伽藍」など。映画「インターミッション」を監督。



(次ページへ続く)

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