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映画クロスレビュー

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[第125回]『ラビング愛という名前のふたり』

人種間につくられた壁




Review02 クラウディア・プイグ 評価:★★★


静けさが多くを語る


米国の人種問題について言いたいことは山ほどあるが、この作品は静けさでもって、多くを語っている。


ラビング夫婦は、公民権運動の活動家であろうとしていたのではない。だが歴史は彼らを放っておかなかった。


今作には、多くのハリウッド監督がとり入れがちなアプローチがない。熱のこもったスピーチも、法廷での涙をさそう最終弁論も、傍聴者が立ち上がっての喝采もなく、音楽も最小限だ。監督ニコルズは、堅実な夫婦にふさわしい叙情的な繊細さや感受性、率直さでもって語っている。ミルドレッドが妊娠を告げる冒頭からしてそうだ。逮捕や10年近い裁判闘争にあっても彼らは怒りを見せない。


今作は、いかに米国が平等を成し遂げてきたかに光をあてる一方、道のりがまだ長いことをも教えてくれる。



Claudia Puig

ロサンゼルス映画批評家協会会長、米公共ラジオNPRの映画番組解説者。米紙USA Todayで2001〜15年に主任映画評者を務めた。



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