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テレビで「外国人リポーター」@ジャカルタ

私の海外サバイバル 更新日: 公開日:
テレビ番組での司会もしています

加藤ひろあき

ミュージシャン、タレント

ON

目の前のイカダに、目が点になりました。長めの竹をつなぎ合わせてつくったそれは、どう見ても頼りない。ラフティングをすると聞いていたけれど、これ?

インドネシアの南カリマンタン州バンジャルマシンに私はいました。地上波テレビ局がつくる旅番組の「外国人リポーター」としてです。密林の中を流れる川はけっこうな流れ。なんか雲行きも怪しいし。こんなんで、大丈夫か?

不安な思いがぬぐえませんでしたが、視聴者のため、やるしかない。ラフトとは名ばかりの竹のイカダに乗り、エイヤッで川にこぎ出しました。案の定、スコールが降り出し、水かさが増えて激流と化した川の中で竹製イカダはあやうく転覆。スタッフとともに慌てて陸に上がり、大きめのバナナの葉っぱを傘に見立てて差し、雨宿りしました。まるで、トトロの世界です。

2014年4月からジャカルタを拠点に活動しています。本職はミュージシャン。でも、日本では芽が出ず、大学で学んだインドネシア語を生かして活路を見いだそうと思ったんです。

旅番組のリポーターは、この国に来て5カ月ほどたったころ、オーディションで射止めました。30人ぐらいのインドネシア人に混じって審査を受けました。応募者の中にいた私を見たプロデューサーが「外国人が旅するのもおもしろい」と、番組のコンセプトを変えて採用してくれた。うれしかったですね。

こちらのキー局の放送で、土曜・日曜の午前10時から流れる1時間番組。5日のロケで1時間分を2本撮るのは超ハード。次々に移動しながら、滝つぼに飛び込んだり、祭りに参加したり。でも、広いインドネシアを見て回るのに、こんなに恵まれた仕事はない。毎回はりきってやってます。

旅番組のほかに、日本文化を紹介するケーブルテレビの番組でMCもやっています。日本の企業や行政が絡むイベントでの司会なども。イベントなどでは一緒に写真を撮ってと頼まれることも多いですが、それは「タレント」としてかな。

ミュージシャンとしてはこれから。でも、着実に活動は広げています。

お祭りではしゃぐ現地の人たちと

今年の3月9日には、インドネシア西部のブリトゥン島で皆既日食が見られるというのに合わせてライブを開きました。実は私の誕生日。しかも、この島は3年前に日本語訳を手がけたインドネシアの小説「虹の少年たち」の舞台になった島なんです。

100人ほど入るといっぱいの島の小さな記念館の一角で、45分のライブを2回。オリジナル曲やカバーソングを歌いました。村の子どもたちや観光大臣も来てくれて、盛り上がった。歌うのはインドネシア語と日本語を用いた歌。二つの文化をつなげられる存在になりたいと願いながら歌っています。

6月には、インドネシア語と日本語の歌10曲を収録したアルバムを発売する予定です。

OFF

休みの日は体力回復が一番。だから、のんびり過ごすことが多い。

ただ、ときどき、小学校から高校まで続けてきた趣味のサッカーとフットサルをします。サッカーは地元の外国人混成チームに所属しています。英国人や米国人、オランダ人、スペイン人らの中に日本人は私1人。オランダ人なんかは体のつくりがすごい。でも、技術は大したことなかったりして。実は飲み屋のオーナーがつくったチームで、メンバーの多くは常連なのです。私のポジションはセンターバック。インドネシア語と英語を交えて会話しながら、思い切りボールを蹴ってリフレッシュしています。

(構成 和気真也)

かとう・ひろあき

1983年、東京生まれ。2014年4月からジャカルタで活動中。