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Breakthrough 突破する力 NPO法人「CANVAS」理事長 石戸奈々子が教育界に新風を吹き込む「21世紀の新たな学び」

行き先は宇宙ではなく、メディアラボ

秋の夕日を背景に、生まれ育った地元の「谷中ぎんざ」で。CANVASの現在の事務所もこの近くにある=東京都台東区
Photo:Semba Satoru

生まれは、東京の下町・荒川区日暮里。JR日暮里駅を挟んで反対側は台東区谷中で、谷中霊園が幼い頃のかっこうの遊び場だった。そんな下町情緒が漂う町で、石戸はプラスチック工場を営む父とプログラマーの母に育てられた。「ものづくり」と「デジタル」が、物心ついたときからそばにあった。


科学好きの兄に連れられ、石戸は毎週末、近所の国立科学博物館をはじめ様々な科学館に通った。お気に入りはプラネタリウム。しだいに天体や宇宙への憧れを抱くようになり、大学進学時には「航空宇宙工学科がある」という理由で東大に進んだ。しかし、大学3年のときに最初の転機が訪れる。


宇宙への狭き門を前に、学生の多くが重工産業に就職を決めていた。抱き続けた宇宙への思いが揺らいでいた時、たまたま授業で米マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボの存在を知る。1985年に創設された世界最先端の研究拠点は、電子ペーパー「Eインク」などデジタル分野で様々な技術革新を生み出していた。「迷いがすっと晴れた。宇宙は『ある世界』を探求していくが、デジタルは『ない世界』をつくっていく。私が行くのは宇宙ではなく、メディアラボだ」。小さな頃から石戸に根付いていた「ものづくり」への憧れが呼び覚まされた。


02年に東大を卒業すると、メディアラボの客員研究員に。全てが新鮮で刺激的だったという理想の環境で、石戸は教育に新たな可能性を見いだす。「ITで最も恩恵を受けるのは、途上国とその子どもたち」というラボの基本理念にひかれ、欧米など十数カ国のチルドレンズ・ミュージアムを視察もした。


世界最先端の動きや情報を吸収した石戸の視線は、日本に向かう。「日本で新しい学びの場をつくるために時間を使いたい」。半年でラボを後にして、日本で実践に移った。



(次ページへ続く)

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